数年前から、憲法(けんぽう)の改正について議論されることが増えてきました。

一昔前は憲法改正という言葉そのものがタブーのような雰囲気がありましたが、今ではそれが嘘のようです。

改正そのものの是非や、改正案の内容などをめぐっては激しく議論が戦わされてきましたし、これからも議論されることでしょう。

仮に憲法が改正される場合には、どういった手続きがあり、私たち国民が投票する憲法改正の国民投票はいつになるのかについて説明したいと思います。

 

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憲法改正とは?

「憲法」は法律であることにかわりはありませんが、一般の法律とは違い少し特殊な法律です。

一般の法律は、国民に向けたもので、私たち国民はそれにしばられています。

しかし、憲法は「国民」に向けたものではなく、「国家」に向けたものです。

すなわち、憲法は国家権力をしばり、国の統治のありかたを定めた法律なのです。これが少し特殊な点です。

こういった法律があるのは、国家権力が暴走して国民の権利がないがしろにされたりしないように、国家権力に歯止めをかけるためです。

日本国憲法が戦後制定されて以来、一度も改正されませんでした。改正とは、不備がある点などを改めるということです。

なぜ憲法改正が議論され始めたのかというと、国際情勢の変化が大きな理由としてあげられます。つまり日本の周辺国の脅威や領土問題などの深刻化が主な要因といわれます。

日本国憲法改正の国民投票

憲法改正は難しい!?

日本国憲法の改正は、ほかの法律の改正よりも厳しい要件が課されています。これを硬性(こうせい)憲法といいます。

なぜ改正するために厳しい要件があるかというと、最高法規である憲法がころころ変えられてしまうと、法律としての安定が保てなくなるため、そうらないためだといわれています。

日本国憲法改正の手続き

憲法改正のための厳しい要件とは、以下の二つです。

  1. 国会議員の3分の2以上の賛成
  2. 国民投票で過半数の賛成

 

通常の法律の改正は、基本的に国会の出席議員の過半数の賛成で足りるのに比べると、たしかに厳しいですね。

1.「国会議員の3分の2以上の賛成」

正確には、「各議院の総議員の三分の二以上の賛成」(憲法96条1項)です。「各議院」というのは、衆議院と参議院ということで、「総議員」というのは、欠席している議員も含めて全員という意味です。

通常の法律改正では「出席議員の過半数」の賛成があればいいのと比べると、その厳格さがわかりますね。

2.国民投票で過半数の賛成

通常の法律改正の場合は、国民投票は必要ありません。国民投票とは、直接国民に賛成か反対かを投票してもらうことです。

この国民投票をどのように行うかについて具体的にするために作られたのが、「日本国憲法の改正手続に関する法律」(憲法改正国民投票法)です。通称国民投票法といわれるものです。

 

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憲法改正国民投票法の内容は?

この法律の主な内容は以下です。

  1. 年齢満18歳以上の日本国民が投票権をもつ(ただし、投票日が平成30年6月20日までの場合は、年齢満20歳以上の者が投票権をもつ)
  2. 憲法改正の発議後、60日以後180日以内に国民投票が行われる

 

この法律は平成19年5月に制定され、平成26年6月に一部改正されました。

その改正で、1.投票年齢が18歳以上に改正されました。ただ、平成30年6月20日までに国民投票がある場合は、従来どおり投票年齢は20歳以上になります。

次に2.についてですが、「憲法改正の発議」とは、憲法改正案が国会で議決されることをいい、その議決がされた日から60日以後180日以内に国民投票が行われるということになります。

実際に国民投票はいつになる?

では実際に私たち国民が憲法改正についての国民投票をすることになるのはいつになるのでしょうか。

憲法改正のために必要な手続きである国民投票をについて規定した憲法改正国民投票法が制定・改正され、手続きについての準備は進んでいます。

しかし、どのように憲法を改正するのかという中身については、自由民主党(自民党)が「憲法改正草案」を平成24年に発表したものの、さまざまな議論をよび、まだ憲法改正の発議ができるような状況にはなっていないと思われます。

したがって、国民投票がいつなされるかということについては、まだ決まっていません。

また、憲法のどの点をどのように改正するのかについても、まだまだ議論する余地は残されていいますので、不確定要素が大きく、いつくらいに国民投票が行われるかということの予想は現段階では難しいといえます。

国民投票法が改正され、投票年齢が18歳以上に引き下げられましたが、それは平成30年6月20日より後に行われた場合に限られます。

ということは、政府は平成30年6月21日以降の国民投票ということも視野に入れていると考えられますね。ですから、国民投票は平成30年6月21日以降と考えることもできます。

あるいは、自民党の改正草案に書かれているような点を全て一度に発議はせずに、小分けにして数年かけて改正していくということも考えられます。

そういった場合はもっと早い段階、すなわち投票年齢が20歳以上平成30年6月20日以前でも国民投票が行われるかもしれません。そして若い人たちの意見を反映させたい内容については、平成30年6月21日以降に国民投票が行われると考えることもできます。

さいごに

以上、憲法改正のために必要な手続きと国民投票がいつ行われるかについて説明してきました。

最高法規とか、国家の基本法などといわれる憲法ですから、簡単に改正できるものではなさそうですね。

国民投票がいつ行われるかはまだはっきりとしませんが、国民投票の前に国会での議決が必要になります。

ですから、国会でどのような内容の改正案が提出されようとしているのか、あるいは審議されようとしているのかについて、私たちもしっかりとチェックしていきたいものです。

 

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