自動車やバイクに乗っていて違反をした場合に交付される切符(キップ)。
切符の種類は通称名でいうと
- 白切符
- 青切符
- 赤切符
の3種類があります。
これらの違いについてわかりやすく説明していきます。
白切符(しろきっぷ)
白切符は点数切符(てんすうきっぷ)といわれ「告知票」と書かれている書類です。
白切符といわれるだけあって、白色をしています。
こちらが交付されるのは、交通違反の点数が定められているものの、反則金は定められていない違反をした場合に交付されます。
違反点数が加算されるだけで、反則金を納める必要はありません。
違反点数が定められていて、反則金が定められていない違反行為というのは、それほどたくさんはありませんが、以下のような違反行為がその例です。
- 座席ベルト装着義務違反
- 幼児用補助装置使用義務違反
- 乗車用ヘルメット着用義務違反
- 保管場所法違反(道路使用)
- 保管場所法違反(長時間駐車)
- 警察官現場支持違反
- 警察官通行禁止制限違反
青切符(あおきっぷ)
青切符は、交通反則切符(こうつうはんそくきっぷ)といわれ、「交通反則告知書・免許証保管証」と書かれている書類です。
この書類は青色をしており、行政処分には至らない軽微な違反で反則金額が定められている違反をした場合に交付されます。
なお、反則金を納めるための「納付書」も同時に交付されます。
反則金を納付すれば、それ以後、国から訴えられるということはなくなり、手続きは終了となります。
もっとも、反則金を納めることは任意で、定められた期日までに反則金を納めない場合は、刑事手続きに移行します。
青切符の対象となる違反行為は、非常にたくさんありますが主なものは以下です。
- 速度超過(30km未満)
- 信号無視
- 通行禁止違反
- 追い越し違反
- 指定場所一時不停止
- 放置駐車違反(放置違反金制度あり)
- 整備不良
- 携帯電話使用等
- 割り込み
- 無灯火
- 定員外乗車
赤切符(あかきっぷ)
赤切符は、交通切符(こうつうきっぷ)、正式には「道路交通違反事件迅速処理のための共用書式」といわれ、「告知票・免許証保管証」と書かれている書類です。
こちらは行政処分が科されるような違反をした場合に交付されるものです。行政処分というのは、免許停止や免許取り消しなどの処分のことですね。
ですから、点数が6点以上の違反の場合に交付されることが多いわけですね。
刑事手続きを予定している
この書類は、行政処分に加え、刑事手続きを予定していることが大きな特徴です。
赤切符を交付されたということは刑事手続きに入ったということにもなります。
青切符の場合は、交通反則制度という行政上の措置により、反則金の納付によって刑事処罰を免除するという手続きになることが多いですが、赤切符の場合は、当初から刑事処罰のための刑事手続きを前提にしているということです。
司法(裁判所)も関係してくる
行政というのは、三権分立制度でいう、司法、立法、行政の「行政」で、ここでは都道府県警察のことをいいます。交通反則制度の場合は、この行政の判断だけで手続きを処理することができるということですね。
これに対して、赤切符の場合は、刑事手続きを前提としていて、違反行為をしたことに間違いがないと判断されれば、罰金や懲役、禁固などの刑事罰が科されることになります。
この刑事罰を科すためには、三権分立制度でいう「行政」の判断だけでは足りず、「司法」(裁判所)が判断しなければならないことになっています。
ですから、青切符の場合とは違った手続きになるわけですね。
もう少し詳しくいうと、刑事罰を科すには
- 警察が捜査
- 検察が捜査・起訴
- 裁判所の裁判官が判決
という流れで手続きを経る必要があります。
もっとも、交通違反事件の場合は、事件の数が多いため、これらの流れを簡略化して効率的に処理しようということで、簡易裁判所(交通裁判所)で略式裁判という形で簡素な手続きで済ますことができるようになっています。
実際、略式手続きの場合は、上記の一連の流れが一日で終わるようになっています。
実際の感覚としては、言われるままに窓口をあちこち回っているうちに終わっちゃったな、という感じだと思います。
前科がつく?
そもそも前科というのは法律用語ではなく、定義が定められているわけではありませんので、確実な答えはありません。
前科を、刑の言渡しを受けた事実のこととの意味でとらえれば、罰金刑を言い渡されると前科がつくということになります。
罰金以下の場合は5年、禁錮以上の刑の場合は10年経過すれば、法律上刑の言渡しの効力が消滅するとされますが、事実そのものがなくなるわけではないとの判例があります。
その解釈に従えば、罰金刑などを言い渡された事実があれば履歴書などの「賞罰欄」に記載する必要があることになります。これに対してプライバシーを理由に記載する必要はないとの見解があるものの、「なし」と記載すると嘘を書いたことになります。
さいごに
以上、白切符、青切符、赤切符の違いなどについてでした。
- 白切符は違反点数のみの場合
- 青切符は違反点数と反則金の納付が予定されている場合
- 赤切符は違反点数・行政処分と刑事罰が予定されている場合
という違いがありました。
これらの切符をもらうことが無いようにしたいものですね。
なお、自転車の違反行為については以下の記事に詳しく書いています。
よろしければ、参考にしてくださいね。
自動車・バイクにしろ、自転車にしろ、道路に出る際は違反行為はしないよう、安全運転を心がけたいものですね。
1)申し上げるまでもありませんが「前科」という用語に法的根拠はありません。当然法律用語ではありません。定義もありません。
禁固刑が前科であることは社会通念上意義がある場合は少ないですが、罰金刑は前科なら反則金も前科、反則金が前科でないなら、罰金刑も前科でないという説が主流となっています。
2)罰金以下の場合は5年、禁錮以上の刑の場合は10年経過しても、「刑の言渡しを受けたという既往の事実そのものまで全くなくなるという意味ではない」という最高裁の有名な判決がありますので、賞罰欄に10年たったからといって禁固刑を故意に記載しなかったばあい、たとえば就職の履歴書であれば、就職時の隠蔽を理由に解雇できます。
つまり、最高裁判例に基づき、何年たっても、禁固刑・懲役刑は記載義務があり、記載しない場合は「賞罰の隠蔽」とされます。
ご指摘いただき、ありがとうございましたm(__)m