マイナンバー制度について話題になることも多くなっていますが、導入されることはすでに決定しています。
制度が導入されることによって、個人レベルでは勤務先や行政の事務手続きなどで番号(マイナンバー)が必要になってくる場面が出てくるでしょうし、企業であれば税金や年金などの手続きを制度に対応したシステムにする必要が出てきたりします。
ですから、マイナンバー制度にスムーズに対応できるように、いつから導入されるかの時期を把握しておくことはとても重要になってきます。
そこで、いつからどのようなスケジュールでスタートしていくのかについて説明していきます。
(補足)
最近、日本年金機構の年金情報流出問題などがあり、マイナンバーと年金情報とを連結させることを予定より遅らせることが検討されています。この点についてはスケジュールの項目で記載しています。
Contents
マイナンバー制度とは
その前に、制度について軽くおさらいしておきましょう。
マイナンバーは、住民票を有する人全員に割り当てられる12桁の番号です。
マイナンバーは、以下の3つの分野の事務手続きで使用されます。
- 税務関係
- 社会保障関係(年金、医療・介護保険、生活保護、児童手当など)
- 災害対策関係(被災者生活再建支援金の支給や、被災者台帳の作成など)
これらは、行政の効率化、国民の利便性、公平・公正な社会の実現を目的として行われます。
これまでは、あちこちのお役所を回って証明書をとって来る必要があったものが、番号を記載するだけで済む、といったことになる場合があり、手続きの効率化や利便性に資することになります。
また、これまではそれぞれの機関に情報がバラバラに管理されているために、不正が発覚しづらい場面があったことも改善でき、公平・公正な行政が行われることも期待されています。
マイナンバー制度導入のスケジュール
では、マイナンバー制度導入のスケジュールについてみていきます。
具体的には、以下のような流れになります。
2015年(平成27年)10月~ 番号(マイナンバー)を通知
2015年(平成27年)10月以降 個人番号カードを各自で申請
2016年(平成28年)1月~ 税務、社会保障、災害対策分野の行政手続きでマイナンバーが必須になる(年金との連結は半年~1年程度延期されることが検討されている)
2016年(平成28年)1月以降 個人番号カード交付開始
2017年(平成29年)1月~ マイナポータル(個人用サイト)の運用開始(本格運用開始は7月に延期)
以上が現時点で決定している予定で、ほぼ確実に実施されます。2015年10月に通知され、実際に活用されるのは2016年1月からになります。
それでは一つずつ見ていきましょう。
2015年(平成27年)10月~
順次、全国民に対し住民票の住所へ12桁の番号(マイナンバー)が書留郵便で通知されます。
この通知は「通知カード」といわれ、氏名、住所、生年月日、性別、マイナンバーが記載されています。
この通知カードだけでは本人確認の書類として使うことは出来ません。
2015年(平成27年)10月以降
通知カードによってマイナンバーが通知された後、各自で市町村へ任意で申請することによって「個人番号カード」が発行(2016年(平成28年)1月以降)されます。
その申請の受付が開始されます。
申請方法としては、通知カードに同封される申請書に記入して顔写真を貼って市町村へ郵送するか、スマートフォンなどで顔写真を撮影し、専用のWEBサイトから申請する方法があります。
2016年(平成28年)1月~ (年金については延期の見通し)
いよいよ実質的なマイナンバー制度の開始になります。
税務、社会保障、災害対策分野の行政手続きでマイナンバーの記載が必要になります。
しかし、冒頭でも触れましたが、日本年金機構の年金情報流出問題などから安全性を疑問視する声が強くなったため、社会保障分野の中の年金については、マイナンバーとの連結は半年~1年程度延期されることが検討されています。
2016年(平成28年)1月以降
個人番号カードの申請が済んだ人に対して、個人番号カードの交付が開始されます。
申請した人は運転免許証などの本人確認書類を持参して、市町村の窓口で受け取るという流れになる予定です。
この個人番号カードはICチップが搭載されており、本人確認書類として使え身分証明書にもなります。
住基カード(住民基本台帳カード)をお持ちの場合は、個人番号カードと重複して所持することはできません。
なぜなら、個人番号カードは住基カードの後継という位置づけだからです。
出典:政府広報オンライン(http://www.gov-online.go.jp/tokusyu/mynumber/point/)
2017年(平成29年)1月~
1月からは「マイナポータル」といわれる個人用サイトの運用が開始されることが予定されていましたが、日本年金機構へのサイバー攻撃があったことなどから、その対応のため年金関連の本格運用は2017年(平成29年)7月にずれ込むようです。
このサイトは、自分の個人情報がどのように提供されたのか、行政機関が持っている個人情報の内容、行政機関などからの個別のお知らせなどを確認することができます。
銀行・医療・証券など民間にも適用拡大予定
さらに、今後マイナンバーを活用する範囲を民間にも拡大することが検討されています。
まだ確実に決まったわけではありませんが、おおむね以下のようなスケジュールが考えられているようです。
2018年(平成30年)~ 銀行預金口座との連動(追記:改正法成立しました)
2018年(平成30年)~(未定) 戸籍、パスポート、自動車登録、医療分野、証券分野での活用
銀行預金口座との連動については、本人が同意することが前提になります。
医療分野においては、カルテやレセプトを管理するための医療番号を新たに作り、マイナンバーと連動させる仕組みが検討されているようです。
さいごに
以上、マイナンバー導入のスケジュールについて見てきました。
マイナンバー制度の適用範囲の拡大は、日本年金機構の情報流出事件の影響などによって、国の情報の取り扱いに疑問を呈する声が出てきていることが影響を与えるかもしれません。
今のところは、2017年1月からは運用が予定されていた「マイナポータル」の本格的な運用は、半年ほど遅れた7月に延期されることが予定されているようです。システム開発にも遅れが出ているとの情報もあり不透明な点もあり、もうしばらく時間が必要のようです。