日常生活を送っていてトラブルや困ったことなどに直面したとき、法律の専門家の必要性を感じることがあります。

しかし弁護士事務所へ行くのは敷居が高いと感じておられる方もまだまだ多いのではないでしょうか。有料での相談となると、結構な料金がかかるイメージもあるかもしれません。

そんなときに便利なのが無料法律相談です。一口に無料法律相談と言っても、いくつかの種類があり、どこが実施しているかによって特徴的な点があります。相談できる内容が限られたり、時間や回数、相談を受けた弁護士の受任の可否などの制限があることもあります。

そこでこの記事では、無料法律相談をうまく活用していただくために、無料法律相談の種類を説明し、それぞれの特徴と注意点、受け方のコツなどについて説明していきたいと思います。

 

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無料法律相談の種類

無料法律相談には、実施団体によって大きく分類すると以下のものがあります。

  • 弁護士会が行っているもの
  • 法テラスが行っているもの
  • 地方公共団体が行っているもの
  • 弁護士事務所が行っているもの
  • 大学・大学院が行っているもの
  • 専門の機関が行っているもの

一つずつ説明していきます。

弁護士会が行っているもの

弁護士会とは、弁護士の指導、連絡、監督を行う団体で、弁護士として活動するためには加入が義務付けられている団体です。

各都道府県に弁護士会があり、その弁護士会が無料法律相談を行っていることがあります。

各弁護士会は法律相談センターというものを設けており、その機関で無料法律相談ができることがあります。

連絡先等は、日弁連(日本弁護士連合会)のサイトから調べることができます。

注意点

注意が必要なのは、これら弁護士会が行っている法律相談は基本的には有料(有料の場合は相談料は明示されています)で、無料であることを原則としているわけではないということです。

各センターによって異なりますが、無料法律相談ができる場合は、相談内容や時間、回数、実施期間などに制限があることがあります。

また無料で法律相談ができないこともありますので十分確認が必要です。

法テラスが行っているもの

法テラス(日本司法支援センター)は、法的な問題に直面したときにどこへ相談するのが適切かを案内してくれる相談窓口のような機能をもつ法務省所管の準独立行政法人です。

法テラスは、トラブルが起きたときに連絡すれば、どこへ相談するのが適切かを教えてくれることが主な役割です。無料で利用することができますが、基本的には窓口の案内業務がメインです。

ただ、民事法律扶助業務の一環として無料法律相談ができる場合があります。

無料相談には条件がある

民事法律扶助とは、経済的な余裕がない方向けの制度で無料法律相談や弁護士費用などの立替え業務を内容とします。

この制度を利用するには、収入や保有資産が一定額以下である必要があるなど、いくつかの条件を満たす必要があります。

詳細は法テラスのサイトをご確認ください。

地方公共団体が行っているもの

市役所や区役所などの地方自治体が住民向けに無料法律相談を行っていることがあります。

「市役所名 法律相談」「区役所名 法律相談」などで検索するとお住いの地域での無料法律相談の情報が出てくるかと思います。

市区町村名での検索では、地域の弁護士会や弁護士事務所の情報が上位に表示されることが多いと思われますので、市役所や区役所などの市区町村役場名での検索をお勧めします。

住民向けサービス

市役所などが行う法律相談は住民向けサービスの一環として行われていますので、基本的には無料です。

法律相談を受けるための条件も、住民であること以外に厳しい条件はないことが多いです。

各自治体によりますが、相談内容、時間、回数などに制限があることがありますので事前にご確認ください。

 

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弁護士事務所が行っているもの

一つ目で紹介した弁護士会ではなく、弁護士法人個人の弁護士事務所が独自に無料法律相談を行っていることがあります。

法律事務所の「初回相談無料」などの広告を目にされた方も多いと思いますが、そういった事務所が独自に行っているものです。

事務所によって異なる

事務所によってはホームページや広告に記載されたフリーダイヤルなどに電話をかけるとすぐに相談に乗ってもらえたりすることもありますし、事務所へ行くための交通費を出してくれるところもあり、至れり尽くせりなサービスを行っているところもあります。

魅力的な点もありますが、こういった形の無料法律相談は事件を依頼してもらうための営業目的であることがほとんどという点は認識しておく必要があります。

相談をする際は、事務所の得意分野は何か調べておくとよいでしょう。例えば、債務整理の事件に特化しているとか、交通事故関連の事件を専門に扱っている、刑事弁護に強いなど事務所の特徴がある場合は、それ以外の事件の相談には乗ってもらえないこともありますので、その点は注意しておく必要があります。

大学・大学院が行っているもの

法学部のある大学法科大学院では、一般の方からの無料法律相談を行っていることがあります。

お目当ての大学・大学院が実施していれば「大学名 無料法律相談」「法科大学院名 無料法律相談」などで検索すると情報が出てきます。

基本的には無料で、相談を受けるための条件はそれほど厳しくないことがほとんどです。

学生・院生が主体

こちらは営利を目的として行っているわけではなく、学生が学問研究やケーススタディを学ぶために行っていますので、実際に弁護士さんに事件を依頼するところまでは期待できません。

大学が行っている場合は、法学部の学生数人が相談に応じた後、協議の上回答するという形が一般的です。回答までに一定時間(数時間ないし数日)かかることもあります。回答は大学教員のチェックが入ることころもあれば入らないところもあります。

法科大学院が行っている場合は、弁護士など法律の専門家が同席することが多く、より実務に近い形で相談を受けることが期待できます。

詳しくは各大学・大学院の案内をご確認ください、比較的気軽に利用できますので、チェックしてみてください。

専門の機関が行っているもの

次に紹介するのは、特定の分野に特化した専門の機関が行っている相談窓口です。

上で紹介してきた機関は、法律問題であれば基本的に何でもOKでしたが、ここで紹介する機関は特定分野に限った相談しかできません。しかし専門の機関ですので、その分野に関しては非常に強い味方になってくれます。

例えば以下の機関です。

  • 消費生活センター
  • 労働基準監督署
  • 人権相談所

以下、簡単に説明します。

消費生活センター

国民生活センターが行う国民の消費生活に関する苦情や相談を受け付けています。

購入した商品についての問題や、悪徳商法、契約トラブルなどについての相談に応じてくれます。

労働基準監督署

労働局や労働基準監督署に設置された総合労働相談コーナーにおいては、労働問題に関する相談を受け付けています。

雇用や解雇、労働条件、配置転換、パワハラ等、労働契約にまつわる幅広い問題について相談に応じてくれます。

人権相談所

法務局は、人権に関する相談(人権相談)の窓口を設置しています。

職場や学校、地域、インターネット上における、不当な差別やいじめ、虐待、プライバシー権侵害など、人権についての相談に応じてくれます。

子ども、女性、外国人、インターネット、それぞれ専用の窓口があります。

 

相談する際のコツ

では次に、無料法律相談を最大限有効に活用するためのコツについて説明していきます。

事前準備が大切

法律相談を有効に活用し適切なアドバイスをもらうためには、事実関係をわかりやすく伝えることが大切です。

そのためには

  • 事実関係をはっきりさせておく
  • 客観的な資料(証拠)を整理しておく

ことが重要です。

事実関係をはっきりさせておく

トラブルの渦中にいるときは、なかなか冷静になれないこともあるかもしれませんが、どのようなことで困っているのか冷静に事実関係を整理してみましょう。

客観的な事実(5W1Hなど)と、自分の推測や感情などを分けて説明するとわかりやすくなります。

例えば、「Aさんはこういう意図だったはずだ」という推測と「Aさんは○○をした」という客観的事実は区別するということですね。

また、自分に不利な情報も正直に伝えることが重要です。自分に不利なことを隠して相談して有利な回答を得られても、後で裁判などになって正反対の結論となってしまっては意味がありません。

客観的な資料(証拠)を整理しておく

法的な問題を解決するには、事実を証拠に基づいて証明していく必要があります。その事実を証明するための証拠はできる限り集めておいて整理しておきましょう。

契約であれば契約書等の書面。事件事故であれば、現場の映像や画像等、その他あらゆるトラブルでも客観的な証拠となるものは散逸しないように収集しておくことが大切です。

以上のことをきちんとしていれば、相談を受ける側も適切な法的アドバイスをしやすくなります。可能な限りやっておきましょう。

主な相談方法は電話か対面

主な相談の仕方としては、電話と対面の二つの方法があります。

最近では、メールやチャットでも相談できるサービスもありますが、上記二つの方法がまだまだ一般的です。

実際に相談を受けるには予約が必要なことがほとんどです。予約の際にあらかじめ相談内容を大まかに伝える必要があることもあります。

電話の場合は、出向く必要がない反面、声だけのやり取りとなってお互いの顔が見えない状態での相談となります。資料などを見せながら説明することができないので、弁護士さんに示すことができる情報量は少なくなるというデメリットがあります。

対面の場合は、実際に部屋で顔を合わせて相談することができ、書面などの資料を実際に見せて説明することができ、より詳しい説明もすることができます。また顔を合わせることで人となりを感じ取ってもらったうえでアドバイスがもらえるので、より適切なアドバイスをしてもらえる可能性が高まります。

以上の点を考慮に入れてどの形態で相談するか決めてください。

さいごに

無料法律相談の種類と相談する際のコツについて説明してきました。

実施している機関によってそれぞれ特徴があります。弁護士会や弁護士事務所の場合は、弁護士への依頼を想定している反面、市役所や大学などの法律相談は弁護士の営業目的で行っているわけではないので事件を受けてくれる弁護士を具体的に紹介してくれないことがあります。そういった特徴も考慮に入れて利用するとよいでしょう。

無料法律相談は法律相談のとっかかりや、セカンドオピニオンを求めるためにも利用することができます。有効に活用してみてください。

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