戸籍(こせき)については、普段日常生活を送っているときにはあまり意識しませんが、結婚や離婚などで親族関係に変更があったときや、本籍を移したりするときには、戸籍を変更する必要が出てきます。

この記事では、普段あまりなじみのない戸籍について、どういった場合に戸籍変更の手続きが必要になるかの典型例を紹介していきます。

現に直面している、あるいはこれから直面することになりそうな時の参考として、目を通していただければと思います。

 

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戸籍変更の手続きが必要な場合

戸籍の内容に変更が生じて手続きが必要な場合とは、典型的には以下のようなものです。

  • 転籍
  • 分籍
  • 結婚
  • 離婚
  • 出産
  • 認知
  • 養子
  • 死亡

 

意味がよくわからないものもおありかもしれませんが、以下順番に説明していきます。

転籍(てんせき)

転籍というのは、本籍(本籍地)を移すことです。

本籍というのは、戸籍の所在場所のことです。

戸籍や本籍の意味については以下の記事に詳しく書いていますので、よろしければ参考にしてください。

戸籍とは?本籍・国籍・住民票との違いについて

 

実は本籍は届出をすることで、縁もゆかりもない場所であっても自由に移転することができます。

もっとも、遠い場所にしてしまうと、戸籍謄本を取るのが面倒になるといったことはあります。

本籍地を移すと、新しい本籍地で戸籍が作られ、元の本籍地の戸籍は除籍(戸籍から除かれること)されます。

分籍(ぶんせき)

分籍は現在入っている戸籍から独立して新しく単独の戸籍を作ることです。

成人(満20歳以上)であれば結婚しなくても自由にできます。

分籍をするときに本籍地も同時に変えることができます。

戸籍変更の手続きが必要なのはどんな時?

婚姻(こんいん)

婚姻(結婚)に関しては、日本人同士の結婚の場合と国際結婚の場合とで戸籍の扱いが違いますので、分けて説明します。

日本人同士の結婚の場合

日本人同士が結婚して婚姻届を出すと、夫婦の新しい戸籍が作られることになります。

姓(氏、名字)が変わらない方が新戸籍の筆頭者になります。

ちなみに、妻の姓にしたとしても、夫が妻の親と養子縁組をしない限り「婿養子」になるわけではありません。この場合、妻の姓を選んだだけということにすぎません。

国際結婚の場合

日本人が外国人と結婚する場合、日本人についてはその婚姻の事実を届け出て、戸籍に記載する必要があります(離婚も同様)。

戸籍の筆頭者でない者が外国人と結婚する場合は、新しい戸籍を作って身分事項欄に外国人配偶者の氏名と国籍などが記載されます。

しかし、その外国人に戸籍があるということにはなりません(日本国籍がないと戸籍は取れません)。

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離婚(りこん)

結婚すると、新しい戸籍が作られるということは上記のとおりです。

筆頭者でない配偶者は除籍

しかし離婚すると、筆頭者でない配偶者はその戸籍から除籍されます。

除籍されるのは法律上の離婚が成立している場合です。

法律上の離婚というのは、協議離婚の合意がある場合や調停調書や確定判決がある場合です。

除籍される方の戸籍は、電子化前の戸籍であれば名前に「×」(バツ)をつけて消したことにしていました。これが「バツイチ」の由来ですね。

ちなみに、戸籍が電子化された後は、バツではなく名前の左側に「除籍」の文字が印字される形式になりました。」

除籍された側(多くの場合は妻)の戸籍は、結婚前の戸籍に戻るのが原則とされています(復籍)。

もっとも、前の戸籍がすでに除籍簿に入っている場合や、新しい戸籍を作ることを希望する場合は、新戸籍が作られます。

通常は旧姓に戻ります(復氏)が離婚前の姓を使用したい場合は届け出る必要があります。

未成年の子は?

離婚する夫婦に未成年の子がいる場合、どちらが親権者になったかに関係なくそれまでの戸籍に残ったままです。

戸籍筆頭者でなかった配偶者(多くの場合、妻)の新戸籍へ移すには、家庭裁判所の許可が必要になります。

出生(しゅっせい)

出産によって子どもが生まれた場合、その子どもは新たに戸籍に記載されることになります。

生まれてから14日以内に出生届を出す必要があります。

結婚している夫婦の子ども(嫡出子)であれば、父母の戸籍へ、未婚(シングルマザー)の場合は、通常は母の戸籍に入ります。

父も母もわからない場合は、新しい戸籍が編成されます。

認知(にんち)

認知というのは、多くの場合、結婚していない男女間の子どもに対して父親がするものです。

母の戸籍に入っている子どもを父が認知した場合、子どもの戸籍はそのままですが、父が認知した旨の記載が追加されることになります。

戸籍変更の手続きが必要なのはどんな時

養子縁組(ようしえんぐみ)

養子には普通養子と特別養子の2種類がありますので、分けて説明します。

普通養子縁組

血縁関係のない子ども(養子)と親(養親)の間に、法律上の親子関係を認めるというのが養子縁組制度です。

双方合意のもと、養子縁組届を市町村役場に提出して受理されると、養子は養親の戸籍に入ります。

その時、養子は実の親の戸籍から除籍されるることになりますが、親子関係が切れるわけではありません

特別養子縁組

普通養子では法律上の親子関係にはなっても、戸籍上は実子になるわけではありません。

養子を戸籍上も実子にするというのが特別養子縁組制度です。

養親は25歳以上の夫婦で、養子の実親の同意や家庭裁判所の許可などが条件になります。

特別養子縁組届が受理されると、実親の本籍地に養親姓の特別養子の単独戸籍が作られた後、養親の戸籍に入ります。

特別養子は実親との親子関係は消滅します。

死亡(しぼう)

人が死亡すると、親族や同居人などは死亡届を出す必要があります。

死亡届が受理されると、死んだ人は戸籍から除籍されることになります。その戸籍に他の在籍者がいない場合は、その戸籍自体が除籍(消除)されます。

戸籍の変更に必要な手続き

戸籍に変更が生じる場合にとるべき手続きは、基本的には本籍地、転籍地あるいは住所地のいずれかの市(東京都と政令指定都市は「区」)町村役場に届けを出すことです。

必要になるものは、届出書類や戸籍謄本、印鑑などですが、詳しくは市区町村役場に問い合わせるとよいでしょう。

さいごに

以上、戸籍変更の手続きが必要になる場合についての説明でした。

これらの場合についてある程度のイメージをもっておけば、いざ手続きが必要な場合に直面した時に、慌てなくてもすみます。参考にしていただければ幸いです。

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