法律

裁量労働制で残業代は?対象業務が拡大!?

投稿日:2015年4月11日 更新日:



みなし労働時間制の一種である、「裁量労働時間制」の適用業務の範囲が拡大される可能性が出てきました。

法律の改正により、金融機関やIT企業などで専門知識を使った法人向けの提案型営業が対象になるかもしれません。

対象業務が拡大すれば、影響を受ける労働者は数万人規模に及ぶといわれます。

この記事では裁量労働制についてのおさらいと、新たに対象となる業務について詳しく説明していきたいと思います。

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裁量労働制とは?

裁量労働制は、正確には裁量労働時間制(さいりょうろうどうじかんせい)といいます。

これは、業務の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務について、実際の労働時間にかかわらず、一定の時間働いたものとみなす制度です。

つまり、業務遂行の手段や時間配分などについて、雇い主から具体的な指示に従って仕事をするよりも労働者の裁量に任せることが適切な業務についての制度です。

この制度では、該当する業務の労働時間は、実際に働いた時間ではなく、労使協定によって決めた時間を労働時間とみなすという制度です。このようなことから、「みなし労働時間制」といわれています。

残業代は?

このように実際に働いた時間にかかわらず、労使協定で決められた時間を労働時間とみなすということですから、その決められた時間をオーバーして働いたとしても残業代のような形で賃金をもらうことはできません

ですので、ホワイトカラーエグゼンプションと並んで「残業代ゼロ法案」と呼ばれたりします。

もっとも、この制度を導入するかどうかは企業によって異なります。この制度を導入するためには、労働者の過半数が加入している労働組合または過半数労働代表者と使用者が労使協定をすることが必要です。

仮に労使協定が成立すると、企業はこの制度を導入することができ、個々の労働者との合意は不要です。ですから、労働者はそれに従わざるを得なくなります。

裁量労働制・残業代

裁量労働時間制の対象業務は?

現在、この制度には業務の性質に応じて

  1. 専門業務型裁量労働時間制
  2. 企画業務型裁量労働時間制

 

の2種類があります。

1.専門業務型裁量労働時間制

専門業務型には、現在、以下のような19の専門業務が対象になっています。

  • 新商品・新技術研究開発
  • 情報システム分析・設計
  • 新聞、出版などの取材・編集
  • 衣服、室内装飾、工業製品、広告などのデザイン
  • 放送番組、映画制作のプロデューサーなど
  • コピーライター
  • システムコンサルタント
  • インテリアコーディネーター
  • ゲームソフトの創作
  • 証券アナリスト
  • 金融商品の開発
  • 大学における教授研究
  • 士業(公認会計士、弁護士、建築士、 不動産鑑定士 、弁理士 、税理士 、中小企診断士)

これらの業務は専門性が高く、労働者の裁量にゆだねることが適切であると考えられることから分類されました。

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2.企画業務型裁量労働時間制

企画業務型は、本社や本店、あるいはそれに準じる事業場において、事業の運営に関する事項の企画や立案、調査、分析など業務が対象になります。

改正により拡大されるのは企画業務型

今回の労働基準法改正案により、対象業務が拡大されようとしているのは企画業務型です。

企画業務型裁量労働時間制は、対象となる業務の内容や導入のための手続きが複雑なこともあり、あまり活用されてこなかったという経緯がありました。

そこで、今回の改正案では、手続の簡素化と対象業務の追加が行われます。

追加される業務とは

  1. 課題解決型提案営業
  2. 裁量的にPDCAを回す業務

 

の二つです。

1.課題解決型提案営業とは、専門知識を駆使して経営課題などを解決する提案営業で、具体的には、ソリューション営業や、事業についての専門的な保険商品を提案する営業などが想定されていると考えられます。

2.裁量的にPDCAを回す業務とは、例えば品質管理の取り組みを企画立案して実施し、それをフィードバックしてさらなる改善につなげていく業務のことをいいます。工場などで作る製品の品質管理などを企画立案してPDCA(計画、実行、評価、改善)サイクルを回していくような業務が考えられます。

いつから拡大されるの?

この裁量労働時間制の対象業務の拡大についての改正案は、国会へ提出されていますが、法案が実際に効力を持つには、国会の審議・可決を経て、公布・施行される必要があります。

スムーズに行けば2016年4月に施行される見通しですが、国会の審議が難航する可能性もありますので実際どうなるかは現段階でははっきりしません。

この法案には否定的意見も根強いですが、働く側としては、法案の成否にかかわらず時間に対する意識を高めて業務を効率化するきっかけになればいいですね。

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-法律

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