軽犯罪法(けいはんざいほう)、一度は耳にした事のある法律名ではないでしょうか。

「軽」とつくわけですから、文字通り軽い罪について定めた法律であることは予想できると思います。

軽い罪であるがゆえに、日常生活を送る上で身近な犯罪ともいえ、うっかりすると自分が軽犯罪に当たる行為をしてしまっていたということもありえます。

ですから、どういった行為が軽犯罪にあたるのか知っておいて損はありません。

ということで、軽犯罪法ではどんな行為を対象にしているのかについて説明していきたいと思います。

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軽犯罪法とは

この法律は、比較的軽微な犯罪を刑法とは別に規定している刑事実体法です。

この法律には、日常生活における倫理や道徳に背く行為といったほうがしっくりくるような行為が多く規定されています。

このような意味で軽犯罪法に規定されている行為は、自然犯の部類に属する行為と考えられています。

未遂犯はお咎めなし

軽犯罪法の対象になる行為はすべて、未遂犯(みすいはん)としては処罰されません。

未遂犯というのは、犯行に着手したものの、やり終えていない状態のことですね。

逮捕されるのは例外的な場合のみ

軽犯罪の場合は、刑法などに規定のある多くの犯罪と異なり、逮捕される場合は例外的な場合に限られます。

軽犯罪は軽微な犯罪なので、逮捕は特別な場合に限定しているものと考えられます。

通常逮捕(逮捕令状による逮捕)は、以下のいずれかの場合に限られます。

  • 犯人が定まった住所を有しない場合
  • 正当な理由なく出頭の求めに応じない場合

 

現行犯逮捕の場合は、以下のいずれかの場合に限られます。

  • 犯人の住居もしくは氏名が明らかでない場合
  • 犯人が逃走するおそれがある場合

 

そして、緊急逮捕はできません。

軽犯罪法の内容!意外な行為に罰則

具体的な内容

それでは、軽犯罪法に規定されている具体的な罪について紹介します。

罪の名前だけではわかりにくいものについては、一部説明を加えています。

公共の安全及び秩序に関する罪

  • 潜伏の罪(人が住んでおらず、かつ看守のない邸宅、建物、船舶に潜む行為)
  • 凶器携帯の罪
  • 侵入具携帯の罪
  • 浮浪の罪(生計の途がなく、働く能力がありながら就職の意思がなく、かつ住居がない者が諸方をうろつく行為)
  • 粗野・乱暴の罪(公共の娯楽場や公共の乗り物で著しく粗野又は乱暴な言動で迷惑をかける行為)
  • 消灯の罪(正当な理由なく他人の標灯や街路灯などを消す行為)
  • 水路交通妨害の罪(みだりに船又はいかだを放置するなど水路の交通を妨げる行為)
  • 変事非協力の罪(災害、事故、犯罪などの現場で、正当な理由なく公務員ん指示に応じない行為)
  • 火気乱用の罪(建物、森林など燃える物の付近で火をたく、引火しやすい物の付近で火気を用いる行為)
  • 爆発物使用等の罪
  • 危険物投注等の罪
  • 危険動物開放等の罪(人畜に害を加える性癖が明らかな犬その他鳥獣類を開放または監守を怠る行為)
  • 行列割り込み等の罪(公共の場所で著しく粗野・乱暴な言動で迷惑をかけ、または威勢を示して公共の乗り物、演劇などの切符を買うための行列に割り込む、列を乱すなどの行為)
  • 静穏妨害の罪(公務員の制止を聞かずに大きな音をだして静穏を害し迷惑をかける行為)
  • 称号詐称・標章等無資格使用の罪
  • 虚構申告の罪(虚構の犯罪または災害の事実を公務員に申告する行為)
  • 氏名等不実申告の罪(買入または個物の売買・交換に関する帳簿に、氏名、住居、職業などについて虚偽の内容を記載する行為)
  • 要扶助者・死体等不申告の罪
  • 変死現場等変更の罪
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風俗及び衛生に関する罪

  • 身体露出の罪
  • こじきの罪(不特定人に哀れみを乞い、生活に必要な金品を受けようとする行為)
  • 窃視の罪
  • 儀式妨害の罪
  • 水路流通妨害の罪
  • 排せつ等の罪(公衆の集合する場所で、たんつばを吐く、または排せつする行為)
  • 汚廃物投棄の罪

身体及び自由に関する罪

  • 追随等の罪(他人の進路に立ちふさがったり群がったりする、またはつきまとい行為)
  • 暴行等共謀の罪
  • 動物使嗾(しそう)・狂奔(きょうほん)の罪(人や家畜に対して、犬など動物をけしかけたり、馬や牛を驚かせて逃げは走らせる行為)

財産及び業務に関する罪

  • 業務妨害の罪(他人の業務をいたずらなどで妨害する行為)
  • 田畑等侵入の罪
  • はり札・表示物除去等の罪(他人の家屋などにはり紙をしたり、他人の看板などの表示物を取り除いたり汚したりする行為)
  • 虚偽広告の罪(物の販売、役務提供などにあたり、欺いたり誤解させるような広告をする行為)

罰則について

軽犯罪法には罰則があり、上記のような行為は「拘留または科料」ということになっています。

拘留(こうりゅう)というのは、1日以上30日未満の期間、拘留場(通常は警察の留置場)に身柄拘束される刑罰です。この刑罰は法律的には、罰金刑よりもかるい刑であるとされています。

科料(かりょう)というのは、1000円以上1万円未満の範囲で科せられる財産刑です。

実際に科される場合は、いずれかの一方または両方になります。

さいごに

以上、軽犯罪法の特徴や規定されている行為、罰則などについて見てきました。

日常生活と関係が深い身近な犯罪といえますが、法律をそれなりに学んだことのある人でも、意外とこの法律のことについてはよく知らないということがあります。

この機会に身近に起こりやすい軽犯罪について、大まかなイメージを捉えておいてはいかがでしょうか。

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