自転車の違反行為に対する取締りが厳しくなったと感じておられる方は多いと思います。
違反行為で比較的若い人がやってしまいがちだったのが、自転車を運転中にスマホ(スマートフォン)や携帯電話を使用することです。
自転車を安全な場所に停止させて、運転していない状態であればスマホなどを使用することは問題ありませんが、運転中であれば危険であることが多いため、禁止行為が規定されていることが多いといえます。
この記事では、自転車運転中のスマホや携帯電話の使用で、違反になる行為、違反にならない行為について説明していきたいと思います。
Contents
どんな行為が違反になるの?
スマホや携帯電話(ガラケーなど)を使用しながら自転車を運転することは、違反行為になるという認識をお持ちの方は多いと思いますが、今一度確認をしておきましょう。
都道府県によって異なる
自転車を運転しながらのスマホや携帯電話の使用禁止する規定は、各都道府県が定める道路交通規則か道路交通法施行細則に定められています。
例えば東京都の場合は、東京都道路交通規則第8条4号で以下のように規定されています。
自転車を運転するときは、携帯電話用装置を手で保持して通話し、又は画像表示用装置に表示された画像を注視しないこと。
出典:http://www.reiki.metro.tokyo.jp/reiki_honbun/g1012199001.html
他の道府県もほぼ同じような規定を定めているところがほとんどです。もっとも、県によっては異なる可能性もありますので、お住まいの県の警察のHPなどを参照してみてください。
さて、東京都の場合ですが、この規定をからは、以下のような行為が禁止されています。
- 手で持って通話しながらの運転
- 画面を注視しながらの運転
これらは多くの方はご存知だと思います。「手で持って」というのは、当然片手でも両手でもNGです。
要するに、手で持って通話しながらや、操作したり文字を読んだりするなど「画面を注視」しながらの運転は禁止されているということですね。
耳と肩に挟んで通話は?
手で持って通話するのはダメとなると、手に持たずに耳(頭・首)と肩に挟んで、両手はハンドルを持っていれば大丈夫なのか?という疑問をお持ちの方もおられるかもしれませんね。
あくまで「手で持って」はいないので、上記規定にはあてはまりません。
しかし、スマホなどを耳と肩に挟むということは、頭を傾けるか、肩を上げるかしなければなりません。
そうすると、いずれにせよ、自転車の運転にあたっては不安定な体勢になってしまいます。
この点について別の禁止行為に該当するおそれが出てきます。同じく東京都では、東京都道路交通規則第8条3号では
傘を差し、物を担ぎ、物を持つ等視野を妨げ、又は安定を失うおそれのある方法で、大型自動二輪車、普通自動二輪車、原動機付自転車又は自転車を運転しないこと。
出典:http://www.reiki.metro.tokyo.jp/reiki_honbun/g1012199001.html
とあり、「安定を失うおそれのある方法」にあたり、違反行為になる可能性があります。
仮に都道府県が定める規則などの適用がなくても、自転車運転中のスマホの使い方によっては、道路交通法の安全運転義務違反として検挙される可能性もあります。
第七十条 車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。
出典:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S35/S35HO105.html
一切使用できないの?
以上は、自転車運転中のスマホや携帯電話使用の違反行為についてでした。
もちろん、「運転中」でなければ使用できるわけですから、スマホや携帯電話を使用したい場合は、安全な場所に停止して使用するのが原則です。
運転中一切使用することができないのでしょうか。
規定のある県もある
例えば、青森県のように使用できる場合を規定(青森県道路交通規則第16条6号ただし書き)している県もあります。
道路において、携帯電話用装置(以下「携帯電話」という。)を使用し自転車を運転しないこと。ただし、携帯電話を手で保持することなく、かつ、携帯電話に表示された画像を注視することなく使用することができる場合にあっては、この限りでない。
出典:http://reiki.pref.aomori.lg.jp/reiki_honbun/c0012194001.html
運転中は一切使用しないにこしたことはないかもしれません。
青森県のような規定がない都道府県でも、禁止行為に当たらない、つまり違反にならない使い方がないわけではありません。
先ほどの東京都の規則を例にすると、
- 手で持って通話しながらの運転
- 画面を注視しながらの運転
ではない方法であれば使用できる余地があるということになります。
その可能性があるのは、以下の二つです。
しかし、これらを使っていれば無条件でOKというわけではありませんので、注意してください。
- ハンズフリー通話キットを使用
- スマホホルダーを使用
では順番に説明していきます。
ハンズフリー通話キットを使用
ハンズフリー通話キットというのは、電話機を持たずに通話できるイヤホンとマイクがセットになった装置のことです。
最近ではBluetoothによる無線で通信できるコードレスタイプのものも多くなってきています。
このハンズフリー通話キットを使用していれば、スマホなどを手に持つ必要はありませんし、先ほどの例のように不安定な状態になることもありません。
ということで、これなら大丈夫・・・といきたいところですが、イヤホンをすることになりますので、イヤホンについての規制の問題がそっくり当てはまってくることになります。
イヤホンの規制についての詳細は以下の記事を参考にしていただきたいのですが、話はちょっと複雑です。
結論的には、イヤホンをしていても安全運転に必要な外の音が聞こえる状態でなければいけないということです。
またイヤホンをしていると、おまわりさんに呼び止められやすくなることは否めませんし、声をかけられて反応が遅いと聞こえていないのではないかと疑われる可能性も高まりますので注意が必要です。
当然ながら、いくらハンズフリーセットを使っていても、運転しながら手に持って操作するなどは禁止事項になります。
加えて都道府県によっては、ハンズフリーやイヤホンの規制について特別の運用をしていたり、新たな規定が新設されたりする可能性もあります。
スマホホルダーを使用
近年、自転車にスマホホルダーを取り付ける方も多くなってきました。
このスマホホルダーを取り付けること自体は違反になりません。
サイクリング中にスマホを使用する場面というのは、時間を確認したり、ナビゲーションアプリや位置情報を記録するアプリを使用したりといったところでしょうか。
どういう使い方であれば違反にならないかというと、例えば以下のようなものが考えられます。
- 表示されている時間をチラ見する
- ナビアプリや位置情報記録アプリの画面をチラ見する
画面を注視することは禁止されていましたが、チラ見であれば注視にあたりません。
しかし、運転中に手で画面を操作することは片手運転になってしまいますので、できません。
さいごに
以上、自転車運転中のスマホや携帯電話の使用について書いてきました。
法律や規則が制定されている目的は、交通の安全にあります。
決して運転中の便利さの追求ではありません。そのことを肝に銘じて、安全第一で自転車を運転したいものですね。
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