子供のころ、自転車で二人乗りをしていておまわりさんに注意されたということはありませんか?
見ていて危なっかしいので子供たちのことを考えて・・・ということももちろんあるかとは思いますが、それ以外にも理由はありそうです。
それは法律などで定められたルールのことです。
自転車運転者講習制度というものが今年6月からスタートし、自転車のルール違反に対する取り締まりが以前よりも厳しくチェックされるようになってきたように思われます。
自転車のルール違反として問題になる代表的なものの一つは、二人乗りです。
とはいうものの、自転車に小さな子供を乗せているお母さん方は多いですし、中には二人どころか三人乗りをされている方もおられます。
そして自転車屋さんには、立派な子供用のシートも売っていますし、子供用のシートを取り付けた自転車も売られています。
これらはルール違反にはならないのでしょうか?
そんな疑問を解決すべく、この記事では、自転車の二人乗りが許される場合について説明していきます。
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自転車は一人乗りが原則
自転車の乗車定員については、道路交通法という法律には規定はなく、各都道府県の道路交通規則ないし道路交通法施行細則に規定されています。
例えば東京都の東京都道路交通規則では、
二輪又は三輪の自転車には、運転者以外の者を乗車させないこと。
出典:http://www.reiki.metro.tokyo.jp/reiki_honbun/g1012199001.html
とあり、自転車は運転者以外乗せてはいけないことを示しています。
ですから、原則として自転車の乗車定員は1名ということになります。
しかし、これには例外規定があって、複数乗車できる場合についての規定もあります。
二人乗りできるのはどんな時?
同じく東京都の例ですが、例外規定として二人乗りが許される場合の規定があって、その条件は以下のいずれかの場合です。
逆にいうと、以下を満たさない二人乗りは違反になります。
その1
- 運転者が16歳以上であること
- 幼児用座席のある自転車であること
- 幼児(6歳未満)1人を乗車させること
運転する人は16歳以上で、幼児用座席を取り付けた自転車である必要があります。
幼児用座席というのは、自転車用のチャイルドシートのことですね。
その2
- 運転者が16歳以上であること
- 幼児(6歳未満)1人を子守バンド等で確実に背負っていること
こちらは運転する人は16歳以上であることは同じですが、チャイルドシートがない自転車の場合でも、幼児1人を子守バンド等でしっかりと背負っていれば大丈夫ということですね。
都道府県によって多少違いがある
ただ、これらの規定は都道府県によって微妙に違いがある場合があります。
例えば、大阪府などの場合は、その1については同じですが、その2の幼児は4歳未満でなければいけません。
こういった違いがありますので、お住まいの道府県警察のHPを参照するか、各都道府県の道路交通規則ないし道路交通法施行細則を確認いただいたほうがよいでしょう。
タンデム自転車は?
タンデム自転車とは、サドルとペダルが人数分装備された自転車のことをいいます。多くは二人分装備されたものが多いですが、中には、3~5人分装備されたものもあるようです。タンデムとは二人乗りのことを意味します。
さて、このタンデム自転車であれば大人二人でも二人乗りできる可能性があります。
ただ、このタンデム自転車自体が特殊なもので、「普通自転車」にはあたらないため、都道府県によっては公道を走ることができません。
普通自転車と同じように公道を走行するすることができるのは長野県、兵庫県、山形県くらいで、その他の都道府県は、禁止されていたり、通行できる場所が限られていたりと何らかの制限があります。
ですから、タンデム自転車でなら大人の二人乗りができる可能性がありますが、走行できる地域が限られるという点には注意が必要ですね。
三人乗りもできる!?
実は、三人乗りも認められる場合があります。こちらも東京都の場合ですが、以下のいずれか条件をみたす場合です。
こちらも、以下を満たさない三人乗りは違反ということになります。
その1
- 運転者が16歳以上であること
- 幼児二人同乗用自転車であること
- 幼児用座席に幼児2人を乗車させること
こちらも運転者の年齢は同じですが、「幼児二人同乗用自転車」ということになっています。
これは、運転席以外に二人の幼児用座席を設けるために必要な特別の構造又は装置を有する自転車ということで、安全基準を満たした自転車のことをいいます。
「JIS」、「BAA」、「SG」などのマークがついた幼児二人同乗基準適合車が安心です。
その2
- 運転者が16歳以上であること
- 幼児用座席のある自転車であること
- 幼児(6歳未満)1人を乗車させること
- 幼児(6歳未満)1人を子守バンド等で確実に背負っていること
こちらは二人乗りができる条件その1にさらに幼児を背負っている場合ですね。
ちなみに幼児二人同乗用自転車に乗せて、さらに幼児を背負って、合計4人乗りということはできません。
都道府県によって違いがある
多くの都道府県は、東京都の例と似たり寄ったりだと思いますが、子守バンド等で背負って乗せることができる幼児の年齢が違ったりするなど、県によって微妙な違いがあります。
三人乗りやその他の点についても、都道府県の規則ないし細則による細かな違いがある可能性がありますので、お住まいの道府県警察のHPか各都道府県の道路交通規則ないし道路交通施行細則をご確認ください。
ヘルメットは義務?
最近では、自転車に乗せているお子さんにヘルメットを被せているという光景を目にすることが多くなりました。安全に対する意識が高まっていることが伺われ、とてもよい傾向だと思います。
このヘルメットについては、法令的にはどのようになっているのでしょうか。
この点については、道路交通法に規定がありました。
第六十三条の十一 児童又は幼児を保護する責任のある者は、児童又は幼児を自転車に乗車させるときは、当該児童又は幼児に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない。
出典:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S35/S35HO105.html
最後で「努めなければならない」となっていますので、この規定は努力義務規定といわれます。
努力義務規定というのは、「努力」することが求められていて、ヘルメットをかぶらせるという「結果」は求められていません。
ですから、努力の結果お子さんにヘルメットをかぶらせていなくても、違反ということにはなりません。もちろん罰則もありません。
しかし大切なお子さんを守るために、ヘルメットはなるべくかぶせてあげたほうがいいですね。
お子さん用の自転車のヘルメットの選び方については、以下の記事に詳しく書いていますので、よろしければ参考にしてください。
さいごに
以上、自転車の二人乗り(三人乗り)が許される場合について説明してきました。
自転車は構造上、複数の人が乗るとバランスが悪くなったり、強度的に問題が生じたりしますので原則として一人乗りなわけですね。複数乗車できるのはあくまで例外的な扱いということです。
このことを肝に銘じて、安全に自転車を運転していきましょう。
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