首相官邸屋上へのドローン落下事件や、ドローン少年の逮捕、イベント会場や大使館へのドローン落下事故など、ドローン(小型無人機)関連のニュースが多くなっています。

現在、日本にはドローンを規制した法律はありません。そのためドローン何らかの形での規制が必要ではないかという声があがっています。

ドローンを悪用した犯罪防止だけでなく、ドローンの落下などによる事故を防ぐためにも最低限の規制は必要ではないかといわれています。

現在、法律によって規制が検討されているのは、自由民主党(自民党)が作成した法案のドローン規制法による規制と、国土交通省が進めている航空法を改正することによる規制です。(追記:航空法改正案は、2015年9月4日に国会で可決・成立しました。

この他に、地方公共団体の条例による規制を行う自治体も出てきており、条例による規制というものもあります。今後各地の自治体へも規制の動きが広がることが予想されています。

この記事では、日本で行われようとしているドローン規制と、海外で行われているドローン規制としてアメリカとイギリスの例を紹介していきたいと思います。

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ドローンとは?

ドローン (drone)とは、もともと「雄のハチ」という意味ですが、自律飛行が可能な無人航空機の総称としても使われています。

今話題となっているドローンは、この自律飛行が可能な無人航空機の意味で、とりわけ3つ以上のローターを搭載したマルチコプターを意味することが多くなっています。マルチコプターというのは、ヘリコプターの一種です。

一口にドローンといっても、市販されているものは1万円前後の比較的安価なものから、100万円を超える本格的なものまで多種にわたります。

ドローン規制法案の内容とは?

大きさも手のひらサイズから、全長1メートルを超える大型のものまで様々です。人気なのはやはり数万円以下で購入できる小型のもので、値段も手頃なものが多いようです。

ドローンを使用するのは、上空から写真や映像を撮影するという空撮のためであることが多いようです。これまで一般の人が上空から撮影する手段は限られていましたが、ヘリコプターなど航空機に搭乗することなくドローンを使って上空から撮影できるというのですから、大変魅力的なことですね。

どのような規制が行われるの?

さて、冒頭で触れましたようにドローンに対する規制は、自民党が作るドローン規制法案と国土交通省が目指す航空法改正による規制地方自治体の条例による規制の三つがあります。

これらについて順番にみていきましょう。

ドローン規制法

まず自民党が成立を目指すドローン規制法についてです。

自民党はドローンを規制することを目的とした、ドローン規制法案を国会へ提出することを予定しています。

正式な法案名は「国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等及び外国公館等の周辺地域の上空における小型無人機の飛行の禁止に関する法律案」という少し長い名前になります。

内容としては、国の重要施設の上空を飛行することを禁止するというものです。

法案名にある首相官邸や国会議事堂の他、最高裁判所や皇居、外国公館、原発施設等を「対象施設」とし、その敷地や区域、その周囲おおむね300メートルを「対象施設周辺地域」として、この地域での上空飛行を禁止するという内容です。

これに違反して飛行した場合、警察官などは侵入させた者に退去を命ずることができるほか、これに従わない場合、飛行の妨害や破損などの措置をとることができる規定や、違反者には懲役1年以下の懲役または50万円の罰金が科されるという規定も盛り込まれているようです。

もっとも、この法案に対しては、日本民間放送連盟が災害や重大事件の発生時などの取材・報道活動に支障が生じうることなどを理由に、取材・報道活動への配慮を求め、自民党に文書で申し入れを行いました。

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これを受けて次で説明している航空法改正においては、安全確保の取り組みが十分な報道機関などの事業者には、飛行禁止の例外が認められる方向で検討されることになりました。

航空法の改正による規制(追記:国会で可決・成立しました)

こちらは国土交通省(国交省)が進めているもので、上記のドローン規制法とは別の航空法という法律によってドローンを規制しようとするものです。

航空法には、無人機に関する細かな規制がない状態でしたので、航空法を改正する動きになっています。

国交省のほか、警察庁や総務省、経済産業省などの省庁とも連絡会議で検討が進められ、改正案が作成されました。

詳しい内容は以下の記事に書いていますので、よろしければお読みください。

ドローン規制法第2弾!航空法改正による規制の内容とは?

ドローン規制法案の内容とは?1

地方自治体の条例による規制

地方自治体の条例によるドローン規制も行われつつあります。条例とは、地方自治体が独自に定める自主法です。

法律は原則として全国的に有効ですが、条例はその自治体の管轄内でのみ効力があります。

例えば、東京都では、都立公園条例の「都市公園の管理に支障がある行為」の禁止規定を根拠としてドローンの規制を始めていますが、これは東京都でのみ有効ということですね。

東京都以外にも、現存する条例を活用して規制するか、新たに条例を制定して規制するかのいずれかを検討する自治体は増えているようです。

自治体の条例は、法律よりも目立たないことが多いですが、ドローンを使用する場合は条例で規制されていないか各自で確認する必要がありそうです。

海外のドローン規制

日本でのドローン規制についてみてきましたが、海外ではどのような規制がされているのでしょうか。

アメリカとイギリスを例にとると、いずれの国も人や車両、建造物の上を飛行することについては何らかの規制がなされていたり、常に航空機を視認できる状態で使用しなければならないことなどが定められています。

また、アメリカでは撮影に関する規制もありプライバシーへ配慮した規定や、飲酒やドラッグを使用した状態での使用を禁止する規定もあります。

アメリカやイギリスと比べると、日本のドローンに対する規制は手付かずの状態であったといえるでしょう。

さいごに

以上、日本と海外のドローンの規制についてみてきました。

日本のドローン規制は緒についたばかりですが、安全確保と犯罪の防止というドローンの規制目的と、ドローンの個人使用や産業使用によるメリットをうまくバランスがとれる形で規制が行われていってほしいですね。

 

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