2015年8月に女性活躍推進法案(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案)が可決し、成立しました。
この法律は平成28年4月1日から完全に施行されますが、平成38年3月31日限りでその効力を失うとされています。
この法律ができたことで何が変わるのか。
あるいは何かしなければいけないことが出てくるのか。
そういったことが気になる方もおられると思います。
そこで、この記事では女性活躍推進法の概要と、一般の国民に関係する主な内容などについて説明していきたいと思います。
Contents
女性活躍推進法とは?
女性活躍推進法は正式には「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」といいます。
概要
この法律は、女性が職業を通じて個性と能力を発揮して活躍することを推進し、男女の人権尊重や、急速な少子高齢化の進展、諸々の社会経済情勢の変化に対応できる社会を実現することを目的とする法律です。
その目的を実現するために主に以下の内容を規定しています。
- 女性の活躍推進のための基本原則
- 国、地方公共団体の責務
- 事業主の責務
- 基本方針の策定
- 事業主の行動計画の策定
- 女性の職業生活における活躍を推進するための支援措置等
国、地方公共団体などのお役所以外の民間の人々にとって直接関係のある規定は、「事業主の責務」と「事業主の行動計画の策定」です。
これらの点を中心に説明していきます。
事業主の責務とは
まず、前提として女性の活躍推進のための基本原則について確認しておきます。
基本原則
基本原則の内容は以下になります。
- 個性と能力が十分に発揮できるように、採用、教育訓練、昇進などの機会を提供すること
- 結婚、妊娠、出産、育児、介護その他家庭生活の事情と職業生活の両立が可能となるような環境を整備すること
- 職業生活と家庭生活の両立について本人の意思を尊重すること
事業主の責務
基本原則を踏まえたうえで、事業主の責務は以下になります。
- 事業主は、基本原則にのっとり、現に雇用している女性、これから雇用する予定の女性に対して、職業生活における機会の提供
- 職業生活と家庭生活の両立のための環境整備
- その他の女性の活躍推進に関する取組
を自ら実施するよう努力することと、
国又は地方公共団体が実施する女性の活躍推進に関する施策に協力すること。
事業主の行動計画の策定とは
事業主は、内閣総理大臣、厚生労働大臣及び総務大臣が定める事業主行動計画策定指針に即して一般事業主行動計画(女性の活躍推進に関する取組計画)を策定して、厚生労働大臣に届け出る必要があります。
一般事業主とは
ここでいう一般事業主とは、国及び地方公共団体以外の事業主のことをいいます。
そして、一般事業主で常時雇用する労働者の数が301人以上の場合は、以下の計画の策定などを行う義務があります。
これに対し、一般事業主で常時雇用する労働者の数が300人以下の場合は、以下の内容は努力義務になります。
一般事業主行動計画で定める内容
一般事業主行動計画は、以下の事項を定める必要があります。
- 計画期間
- 女性の活躍推進に関する取組の実施による目標
- 実施しようとする女性活躍推進に関する取組内容と実施時期
そして、この一般事業主行動計画を定めるにあたっては、
- 女性労働者の割合
- 男女の勤務年数の差異や労働時間の状況
- 管理職に占める女性労働者の割合
- その他のその事業における女性の活躍状況
を把握し、女性の活躍推進のために改善すべき点を分析した上で定める必要があります。
また、この場合において「女性の活躍推進に関する取組の実施による目標」については、
- 採用する労働者に占める女性労働者の割合
- 男女の継続勤務年数の差異縮小の割合
- 労働時間
- 管理職に占める女性労働者の割合
- その他の数値
を用いて定量的に定める必要があります。
周知と公表する義務
一般事業主は、一般事業主行動計画を定めた場合、厚生労働省令にしたがって、労働者に周知させる措置をとることと、公表をしなければなりません。
認定取得もあり
上記の一般事業主行動計画を策定して届出を行った一般事業主は、厚生労働省令により、女性の活躍推進の取り組みについて優良と認められる場合は、厚生労働大臣の認定を受けることができます。
その認定を受けた一般事業主は、商品やサービスの広告などに認定を受けた旨を表示することができます。
さいごに
以上、女性活躍推進法の概要と、一般事業主がすべきことなどについての説明でした。
女性の活躍推進についての取り組みについて優良と認められた場合には、事業主の商品などに表示することができる制度も導入されており、一つのインセンティブにもなりますね。
これを機会に女性の職場における活躍がより進んでいくことを期待したいと思います。
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男女共同参画社会基本法の基本理念にのっとって女性活躍推進法は制定されています。