男女共同参画社会基本法(だんじょきょうどうさんかくしゃかいきほんほう)。
一度は耳にしたことがある法律ではないでしょうか。
しかし、聞いたことはあってもどんなことが定められている法律なのか、漠然としていてよくわからないといったイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
そういった漠然としたイメージをクリアにするために、この記事では、男女共同参画社会基本法にはどういったことが規定されているのかについてわかりやすく説明していきます。
Contents
男女共同参画社会基本法とは?
この法律は、「基本法」という名前がついています。
基本法というのは、普通の法律とは少し異なる性質があり、それがわかりにくいというイメージにつながっているのかもしれません。
そもそも基本法とは?
「基本法」というのは、主に国の政策の基本方針を定めたもので、直接国民の権利義務に影響があるような規定はありません。
この意味で最高法規である憲法と個別法を橋渡しする役割を担っている法律といえます。
ちなみに、女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案)は男女共同参画社会基本法の基本理念に基づいて制定されていますので、この橋渡しの役割を果たしているといえるでしょう。
基本理念
男女共同参画社会基本法が制定された背景には、男女平等の実現に向けた取り組みをより進めるとともに、少子高齢化や経済情勢の変化に対応するため、男女が性別に関係なく個性と能力を十分に発揮できる社会を実現することが課題になっているという問題意識があります。
このような課題に取り組むために、男女共同参画社会を形成するための施策の推進を図ることがこの法律の基本理念になっています。
具体的な内容
この法律の主な内容は、以下の章立てによって規定されています。
- 第一章 総則
- 第二章 男女共同参画社会の形成の促進に関する基本的施策
- 第三章 男女共同参画会議
それぞれについてポイントを絞って説明していきます。
原文については、男女共同参画社会基本法を参照してください。
第一章 総則
総則の主な内容は、
- 目的
- 基本理念
- 国の責務
- 地方公共団体の責務
- 国民の責務
などが規定されています。
この法律の目的は、男女共同参画社会を形成することです。
その実現にあたって、基本理念を定め、国や地方公共団体、国民の責務を明らかにして、政策の基本事項を定めています。
男女共同参画社会の形成というのは、男女が対等に、自分の意思によって社会的活動に参画する機会が確保されている社会を形成することです。
男女共同参画という言葉で、「参加」ではなく「参画」となっているのは、意思決定過程へ参加するという意味がこめられているからです。
次に基本理念の具体的内容は以下の通りです。
- 男女の人権尊重
- 社会制度や慣行について配慮すること
- 政策立案などに共同参画すること
- 家庭生活と社会活動の両立
- 国際社会との協調
また、国・地方公共団体・国民の責務としては、以上の基本理念にのっとって、それぞれの役割を果たす責務があると規定されています。
第二章 男女共同参画社会の形成の促進に関する基本的施策
第二章の主な内容は以下です。
- 政府の基本計画(男女共同参画基本計画)
- 都道府県の基本計画(都道府県男女共同参画計画)
- 国際的協調のための措置
- 国の地方公共団体や民間団体への支援
第三章 男女共同参画会議
第三章の主な内容は以下です。
- 内閣府に男女共同参画会議を設置
- 男女共同参画会議の所掌事務
- 組織・議長・議員について
男女共同参画会議というのは、この法律の目的である男女共同参画社会の形成のための体制として内閣府に設置される会議です。
この会議の所掌事務としては、男女共同参画基本計画の案を作成することや、基本方針などを調査審議すること、内閣総理大臣や各大臣に意見を述べることなどです。
さいごに
以上、男女共同参画社会基本法の大まかな内容でした。
「基本法」というのは、直接国民の行動などを規制したりするわけではありませんので、普段はあまりなじみがないかもしれません。
しかし、国や地方公共団体が行う施策の基本方針を定めたものですから、国民の生活に間接的ではあっても、大きな影響を与えているといえますね。
大まかにでも内容を知っていれば、国や地方公共団体が行う施策の意味をより深く理解できるようになると思われます。
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