バイク(二輪車)の改造は、法的にどの程度まで許されるのでしょうか。
バイクの改造(チューニング、ドレスアップ)という場合には、純正で取り付けられている部品を社外品に交換するということが多いと思いますが、面倒な手続きをしなくても交換することが許されている部品と、そうでない部品があります。
許される部品は「指定部品」といわれる部品です。
許されていない部品は指定部品以外の部品(指定外部品)です。
指定部品を変更することについては、その部品が保安基準を満たしている限り、何ら届け出をしなくても合法で車検のあるバイクなら車検も通過することができます。
この記事では、比較的お手軽に改造できる指定部品を交換することによる改造(チューニング)を中心に、法律的に認められる範囲について説明していきます。
Contents
指定部品とは?
指定部品(指定する自動車部品)というのは、お役所の通達によって指定された部品のことです。
バイク(二輪車)関連の主な指定部品は以下のとおりです。
<車体まわり関係>
- カウル類
- ウインド・シールド
- ラック類
- カバー類
- ヘッドライトカバー
- その他灯火器カバー類
- ガード類
- 水/泥はねよけ(フェンダー・フラップ)
- グラブバー
- バックレスト
- ステップ
- クラッチ/ブレーキレバー
- ミラー
- ナンバー取り付けステー
- 任意灯火器類
<原動機、排気系統関係の部品>
- リモコン・エンジンスターター
- エキゾースト・パイプ・パイプ・チップ/エクステンション
<走行に当たり機能する部品>
- タイヤ
- ホイール
- コイル・スプリング
- ショック・アブソーバ
- マフラー
- 排気管
- 規定灯火器類
これらの部品であれば、社外品であっても、その部品が保安基準を満たしていれば交換してもOKになります。
なお、ナンバープレート関連の規制については、以下の記事に詳しく書いていますのでよろしければ参考にしてください。
(2016年4月1日より新しい基準になっています。)
主要パーツの注意点
バイクの改造にあたって多くの方が装着する主要なパーツを取り付けるにあたっての注意点について触れていきます。
全般的に言えることですが、バイクの大きさ重量に関しては、パーツを取り付けた場合にノーマル状態から以下の範囲内に収まっている必要があります。
- 長さ ±3cm
- 幅 ±2cm
- 高さ ±4cm
- 車両重量 ±50kg
この点を踏まえてそれぞれのパーツについてみていきます。
マフラー・排気管
定番パーツといえるマフラーですが、主に以下の点に気をつける必要があります。
- 騒音規制に適合していること
- 排出ガス規制に対応するための触媒が付いていること
- マフラーの先(マフラーエンド部分)が尖っていないこと
騒音規制についてですが、バイクがいつ生産されたかによって若干基準が異なってきます。
詳しくは、全国二輪車用品連合会(JMCA)のサイトをご参照ください。
また、触媒やマフラーの形状についてですが、メーカーやショップの店員に確認するなどして基準を満たしているか確認したほうがいいでしょう。
カウル類やウインド・シールド
カウル類(カウリング)やウインドシールド、風防などは、ノーマル状態から上記の長さ、幅、高さ、重量の範囲内で、かつボルトなどを使って簡単に脱着できる取り付け方法(固定的取付方法)であれば、諸手続き不要で装着可能です。
カウル類に限りませんが、上記サイズオーバーの場合は、記載事項の変更や構造等変更検査の手続きが必要になります。
タイヤ
タイヤは多くのーカーからさまざまなものが出ていますが、溝のないスリックタイヤはNGです。
市販されている溝のあるタイプの物であれば、ほぼOKと思われます。
ホイール
ホイールは、JWLマークもしくはJWL-Tマークまたは自動車製作者を表すマークが刻印されていて、損傷がないことが必要です。
レース専用のものや、「Not For Road Use」などと刻印されているものはNGです。
コイル・スプリング、ショック・アブソーバ
サスペンションの種類に変更がなければ社外品に交換してもOKです。
その場合も、車高が変わったりする場合は、この章のはじめに記した「高さ±4cm」の範囲内にあることが必要です。
ミラー
ミラーも社外品でいろいろな種類のものが販売されています。
ただ、保安基準には、円形ミラーの場合は直径94~150mm未満、円形以外のミラーの場合は120×200mm以下で、直径78mmの円を内包できるサイズであることが必要です。
基準は変更されたりすることがありますので、不明な場合はお店に確認しましょう。
ランプ類・ウィンカー
ヘッドランプやテールランプなどのランプ類や、ウィンカーも保安基準を満たす限り交換可能です。
フューエルタンク
タンクは、保安基準を満たしているものであれば変更OKです。
こちらも不明な場合はお店に確認しましょう。
エンジン
車検証などに記載されたエンジン形式に変更がなければ、エンジンを積み替えることも可能です。
しかし、エンジン形式が変更になったり、ボアアップなどで排気量が変更になる場合は申請が必要になります。
指定外部品の場合は?
指定部品以外の指定部「外」品を取り付ける場合はどうすればいいのでしょうか?
特に、上の「主要パーツの注意点」で記載したサイズや重量を超える場合など、構造等変更検査や記載変更の手続きが必要になってくる場合があります。
ですので、指定外部品を取り付ける場合は、専門知識をお持ち方が手続きをするか、専門ショップなどに依頼するなどしたほうがよいでしょう。
さいごに
以上、バイクの改造が法的に許される範囲について、指定部品の変更によるものを中心に説明してきました。
二輪車はアフターパーツが出回っている車種も多く、自分好みにカスタマイズしやすいといえます。
しかし、走行装置などに不具合があると転倒などにつながったりして危険です。
安全に関わる部品などは特に注意して、保安基準を満たしたものをしっかりと取り付けて安全第一でカスタマイズしてくださいね。
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バイクのウインカーなどの規格が小さすぎて、対向車両からは見えない。また、取り付け位置が指定されて無く、足元に付けているバイクがある。全く確認出来ない。
事故の要因に繋がるのではないですか。
早急な見直しを望みます。
コメントいただきありがとうございます。
確かにウインカーがとても小さくて対向車からは見づらいバイクを見かけることがありますね。事故につながりかねないというご指摘はごもっともだと思います。
二輪自動車の方向指示器は「方向の指示を表示する方向100mの距離から昼間において点灯を確認できるもの」(道路運送車両の保安基準の細則を定める告示48条1項1号)であることが必要で、「照明部の面積が7cm2」が目安となっているようです。ウインカーは社外品を取り付けるにしてもノーマル状態から大きく離れた位置に取り付けることはできませんし、前方のウインカーは「照明部の最内縁において240mm以上」、後方は「照明部の中心において150mm以上」の間隔をあけて、地上2.3m以下(道路運送車両の保安基準の細則を定める告示【2017.06.22】別添53参照)などその他細かな基準もありました。
ご指摘のようなバイクは、おそらくこれらの基準を満たしていない可能性がありますね。事故防止のためにも基準に適合する取り付けを徹底してもらいたいものですね。