自転車やバイクのパーツ、あるいは家庭にあるちょっとした物をきれいに自分できれいに色を塗ることができたら素敵だと思いませんか。

子供のころ、プラモデルや自転車などに缶スプレーで塗装しようとしてうまくいかなかった、なんていう経験から塗装には苦手意識がおありの方も多いかもしれませんね。

自分で塗装すると、タレたりムラになったり、ホコリがついてしまったり・・・、あるいはツヤがイマイチだったりして満足な仕上がりにならないと思っておられる方も多いかもしれません。

しかし、これらは少しの工夫で防ぐことができますし、あとから修正することも可能できれいにすることもできるんです。

この記事ではバイクのチェーンカバーの塗装を例にして、自家塗装できれいに塗る方法について説明していきたいと思います。

 

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自家塗装の方法

自家塗装(じかとそう)とは、文字通り自分(の家!?)で塗装(色塗り)することです。

塗装には、

  • ハケで塗る
  • 缶スプレーで塗る
  • エアブラシで塗る

という方法があります。

ペンキなどをハケで塗るのは、家の外壁や門扉等、屋外にある比較的大きなものに対してが一般的です。ムラになったり塗膜が厚くなったりしやすいので、小さなものや乗り物のパーツ類を塗るのには適しません。

エアブラシでの塗装は、機材をそろえる必要がありますし、それなりの技術も必要になってきますので、お手軽にというわけにはいきません。

今回紹介する缶スプレーで塗装する方法は、比較的お手軽にできて、失敗してもやり直しができ、しかもきれいに仕上げられるというメリットがあります。

缶スプレー塗装の作業手順

缶スプレーでの塗装手順は大まかに以下の流れになります。

  1. 下地処理
  2. 下地塗り
  3. 本塗り
  4. 上塗り

缶スプレーでの色塗りというと、軽く汚れを落として上から塗っていけばいいのでは?とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。

しかしそのようにしてしまうと、すぐに塗った塗料がはがれてしまったりして耐久性があまりありません。

そこで重要になってくるのが下地処理下地塗りです。ここをしっかりとしているかどうかで、塗料のノリ剥がれにくさなどが変わってきます。

せっかく塗装するわけですから、ある程度長持ちする丈夫なものに仕上げたいですよね。

比較的お手軽でありながらも、それなりに丈夫できれいな塗装ができるように作業手順を説明していきます。

ちなみに上塗りというのは、一般的には仕上げにクリヤー塗料、つまり透明の塗料を塗ることです。この工程は必ずしも必要というわけではありませんが、本塗り塗料の保護ツヤを出すためには有効です。

準備するもの

用意するものは以下の物です。

  • 耐水ペーパー(320~2000番程度)
  • コンパウンド(粗目から極細目、鏡面液体コンパウンド)
  • シリコンオフ(家庭用洗剤など脱脂できるものであれば可)
  • 缶スプレー(ラッカー系)3種類(下地用(プラサフ)、本塗り用(希望のカラー)、上塗り用(クリアー))

 

これらについて少し説明します。

耐水ペーパー(320~2000番程度)

耐水ペーパーとは、水につけても大丈夫な紙ヤスリのことで、ホームセンターなどで買えます。番数は数字が低いものほど目が粗く、高いものほど目が細かくなります。

以下のようにいろいろな番数がセットになったものを手に入れるのもいいですし、必要なものだけバラで手に入れるのでもいいです。

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楽天市場で販売されている「耐水ペーパー」

 

コンパウンド(粗目から極細目、鏡面液体コンパウンド)

コンパウンドというのは研磨剤のことです。こちらも目が粗いものから目の細かいものまであります。

イメージ的には耐水ペーパーよりも目を細かくして、よりツルツルにするために磨くときに使うものです。

コンパウンドにもチューブに入った練り状のものと、液体のものがあります。液体のものがより目が細かくなります。

液体コンパウンドは鏡面(きょうめん)のように仕上げたい場合に使用します。

 

アマゾンで販売されている「コンパウンド」

 

楽天市場で販売されている「コンパウンド」

 

シリコンオフ(家庭用洗剤など脱脂できるものであれば可)

シリコンオフというのは、脱脂(油分を取り除くこと)するために使うものです。

塗装する面に油分が残っていると、塗料がはがれやすくなったりしてよくありませんので、脱脂する必要があります。

あれば便利なものですが、必ず必要というわけではなく、家庭用洗剤でも代替できます。

缶スプレー(ラッカー系)3種類(下地用(プラサフ)、本塗り用(希望のカラー)、上塗り用(クリアー))

今回はツヤ消し塗装ではなく、ツヤあり塗装を前提とします。

缶スプレーは、いろいろな種類のものが売られています。

1本2~300円程度のものから、千円を超えるものまでありますし、一般用のものから自動車補修用などでボディの色に合わせて作られたものもあります。きれいに仕上げたい場合は、安価すぎるものは避けたほうがいいでしょう。

今回は手ごろな値段できれいに塗れるラッカー系のものを使います。

 

アマゾンで販売されている「ラッカー系スプレー」

 

楽天市場で販売されている「ラッカー系スプレー」

 

車のボディなどを塗装する場合は、ソフト99やホルツなどのメーカーの専用スプレーを使うとよいでしょう。車の外装部品などを塗る場合で、ガチできれいに丈夫に塗りたい場合は、上塗りはウレタン系のクリアー塗料を使うとよいでしょう。こちらは少し値が張りますので、ある程度慣れてから使用されることをおすすめします。

2液性で基本的に1回使い切りとなりますので注意してください。

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1.下地処理

今回は、オートバイの金属製のチェーンカバーを塗装します。ちなみに、塗装するパーツは、車体から取り外したほうが塗りやすく、きれいに仕上がります。

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下地処理とは、塗装する部分の表面を、塗料のノリがよくなるようにならす、といった意味があります。

具体的には、汚れやサビなど洗剤などで洗い流してから、320~400番くらいの耐水ペーパーで全体を磨きます。

耐水ペーパーは必要な分だけちぎって、水をつけながら塗装する物をゴシゴシ磨いていきます。

水を含ませたスポンジをそばに置いて、水をたらしながら磨くのもでもいいですし、水道の水を少しずつ流しながら磨くのでもいいです。

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本来であれば、もともと塗られている塗料を全部はがすことが理想ですが、手作業で磨くとなると、そこまではなかなかできません。

完璧にしたければ、溶剤や塗料の剥離剤(塗膜はく離剤)を使って、元の塗料を完全にはがす方法もありますが、特にこだわりがなければそこまでしなくても大丈夫です。剥離剤は強力ですので取り扱いにはくれぐれも注意してくださいね。

ちなみに以下の画像は、ステッカーをはがすのが面倒だったので剥離剤を使用してステッカーごと塗料をはがした様子です。

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凹んでいたりする場合は、パテ埋めをしたりすればきれいにできますが、ここでは割愛します。

2.下地塗り

全体を満遍なく磨くことができたら、次は下地塗料を塗っていきます。

素手で触ったりしていた場合は、塗る前に家庭用洗剤かシリコンオフなどで表面の脂分を取り除きましょう。

もし塗りたくない部分があるときは、マスキングテープや新聞紙などをしようしてマスクします。

下地塗料はプラサフ(プライマー・サフェイサーの略)を使います。

プラサフは表面を整えることと、本塗り塗料の付着をよくすることの役割を果たします。

塗り方は、まずスプレー缶をよく振ってから(気温が低くスプレー缶が冷えているときは、ぬるま湯につけて少し温めます(火気厳禁))、全体に満遍なく吹き付けていきます。

また塗装場所は「家の外」を原則とし、換気には十分注意してください。

塗り方としては、遠く離して薄く何度も何度も塗っていく方法と、近づけて一気に塗っていく方法があります。後者タレやすくなりますので、慣れるまでは前者の方法がいいかもしれません。

 

遠く離して何度も塗る方法

 

近づけて一気に塗る方法

 

ただ、前者の場合は、タレにくく満遍なく塗れるメリットがある反面、表面がザラザラになりやすいです。

ザラザラになった場合は、よく乾燥させた後800~1000番程度の耐水ペーパーで一通り磨くか、コンパウンドなどで磨くとよいでしょう。あまり磨きすぎると、塗膜がなくなってしまいますので注意してください。

この段階は下地塗りの段階なのでそれほど神経質になる必要はなく、ある程度表面をならす程度の感覚でいいでしょう。

 

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3.本塗り

プラサフが乾燥して、表面をならした後は、いよいよ本塗りです。

塗装面に手の脂などがついてしまった場合は、塗る前にもう一度脱脂します。

本塗り塗料の塗り方は、プラサフの塗り方と同様です。

慣れないうちは、少しずつ何度も何度も塗るほうがムラなく塗れるのでいいかもしれません。

耐久性を考えるとある程度の厚さを塗る必要がありますので、全体に色が行き渡っても、5~10分おき間隔でもうしばらく塗り続けたほうがいいでしょう(お好みによります)。

以下の画像はシルバーに塗装しています。

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自然にツヤが出るように塗るには、タレる一歩手前の厚さで塗るのが一番です。

しかし、それは結構難しいですし、タレると後で修正する工程が増えて面倒ですので、はじめのうちは先ほどの一番目の動画のように薄く何回も塗っていく方法がいいでしょう。

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本塗りでタレてしまった場合は、最低でも2時間以上は乾燥させた後、タレた部分を耐水ペーパーやコンパウンドで研磨して凹凸をなくします。

以下の画像は上のタレた部分を研磨した後、再度塗装したものです。

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4.上塗り

本塗り塗料を塗り30分程度乾燥させた後、クリヤー塗料を吹き付けていきます。

このクリヤー塗料は、本塗り塗料の保護ツヤ出しの役割があります。

クリヤー塗料を吹き付ける場合も基本的には下地塗りと同じように吹き付けていきます。

耐久性を持たせたい場合や、ツヤを出したい場合は、少し厚めに塗ることをお勧めします。

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表面がミカン肌のような状態なってしまうこともあるかもしれません。

そのような場合でもツヤを出したい時は、十分乾燥させてから1200~2000番以上の耐水ペーパーコンパウンドで磨いてくと、表面の凹凸がなくなっていきツヤが出てきます。最初は粗めのものから徐々に細かい目のものを使っていきます。ただ磨きすぎには注意してください。

コンパウンドはウエスに少量つけて、円を描くのではなく、直線的に磨きます。

磨きすぎたりした場合は、再度クリヤーを吹き付けます。乾燥後、また同じように研磨し、納得できる仕上がりになるまで繰り返します。

鏡面仕上げのようにツルツルにしたい場合は、耐水ペーパーも番数を上げていき、コンパウンドも鏡面磨き用の液体のものを使用するなどして仕上げていくとよいでしょう。

ここは根気のいる作業になってきます。

コンパウンドも目が粗いものから細かいものまで種類がありますので、いくつかそろえておくとよいでしょう。

完成後、中まで完全に乾燥するには、1週間とも1ヶ月以上ともいわれますので、しばらくの間はそっとしておきましょう。

さいごに

以上の方法は、バイクや車の部品だけでなく、その他の金属や木材などスプレー塗料の説明書きに記載されている用途のものに塗装する際も共通する方法です。

ただ、プラモデルの場合は、プラスチック製品でかつ壊れやすい繊細なものですので、プラモデル専用の塗料の使用と慎重な取り扱いをおすすめします。

きれいに塗装できたときには物に対する愛着もわきますし、気持ちもリフレッシュしてその物を使うことができます。

自家塗装はどこまでのきれいさツヤ耐久性を追求するかでかける手間が変わってきます

パッと見がきれいになればそれでいいという場合もあるでしょうし、丈夫でかつピカピカツルツルに仕上げたいという場合もあるでしょう。

ただ後者の場合は、何度も何度も磨いたり塗ったりを繰り返さなければならないことが多く、時間と根気が求められます(塗料が十分に乾燥しないうちに磨いたりするとグチャグチャになって大変なことになるので注意)。

ご自身の求めるクオリティに合わせて、作業は選んでいってくださいね。

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