塗装といえば、ツヤがあってピカピカに仕上げるというのが一つの方法ですが、ツヤのないツヤ消し塗装も昨今では人気があります。
つや消し塗装の定番といえブラック(黒)です。マットブラックと言われることも多いですが、今回はそのマットブラックの塗装について説明していきたいと思います。
Contents
マットブラックに塗装する方法
以前スプレー缶で自家塗装する方法について説明した記事
を書きましたが、その記事ではツヤあり塗装が前提でした。
この記事では、つや消し塗装の説明です。
といっても、やり方はツヤあり塗装と手順は多くの点で共通します。
手順としては、
- 塗装する物の洗浄
- 下地処理
- 下地塗り
- 本塗り
です。
もっとも、つや消し塗装ならではの気を付けるべき点が少しありますが、その点については後述します。
ツヤあり塗装との大きな違いとしては、本塗の後の上塗り(クリヤー塗装)が不要という点です。しかし、「つや消しクリヤー」というスプレーも販売されていて気になりましたので、今回そちらの方も塗ってみて効果のほどを試してみました。
ということで、まずは本塗りまでの基本となる作業説明に入っていきます。
1.塗装する物の洗浄
今回塗装するものは、自転車(ママチャリ)の前後輪の泥除け部分(樹脂製)です。
このパーツ、実は数年前に同じく自家塗装で一応ツヤありのブラックに塗装していたものです(今となってはあまりツヤはありませんが…)。
数年使用したものですが、よく接触する部分やシールを剥がした部分などは塗装が剥げています。
塗装する際は部品を取り外したほうが作業をしやすいため、車体から取り外しています。取り外さないで塗装する場合は他のパーツ等に塗料がかからないようにマスキングテープなどを使ってマスクする必要があります。
まずは汚れや油分を取り除くために洗浄します。このパーツは家庭用洗剤でも十分でしたが、油汚れがひどいものなどは、パーツクリーナーなどを使用すればよいでしょう。
2.下地処理
一通り洗浄できたら、下地処理です。
耐水ペーパーで塗装する面を磨いていきます。目の粗いものから細かいものまで複数用意します。
今回は300~1000番前後のものを使用していきます。ホームセンターなどでも売られていると思います。
(以下の画像クリックでアマゾンのページへ飛びます)
JomMart 耐水ペーパー 8種類 セット 各1枚 (#320 #400 #600 #800 #1000 #1200 #1500 #2000) TL0211
耐水ペーパーで磨くのは、塗装する表面をならすことと、凹凸をなくすことが目的です。
お好みにもよりますが、まずは400番前後の目の粗い耐水ペーパーを使って磨きます。耐水ペーパーで磨くと表面が研磨されて塗膜などが削られていきますので、それを水で洗い流しながら磨きます。
大きな凹凸があってそれを平らにする場合などは、もう少し粗目の耐水ペーパーを使えば早く研磨できます。
しかし、目が粗すぎるとキズがついて表面に凹凸ができてしまいますので注意です。2,3種類、番数を変え、最終的には800番くらいで磨いて下地処理を終えます。
3.下地塗り
下地処理を終えた後は、下地塗りに入っていきます。
今回使用したのは、「ソフト99 ボデーペン」のプラサフという塗料です。他のメーカーのものでもかまいません。
(以下の画像クリックでアマゾンのページへ飛びます)
SOFT99 ( ソフト99 ) ペイント ボデーペン プラサフ 08003 [HTRC2.1]
塗る前に缶スプレーをよく振ります。気温が低くてスプレー缶が冷えている場合は、ぬるま湯につけて少し温めます(火気厳禁&温めすぎないように注意してください)。冷えた状態ですと、圧力が低くなって塗料の出にムラが生じやすくなります。
塗装中は塗料のニオイがすごいので、塗装場所は「家の外」が原則です。やむをえず屋内で行う場合は、換気には十分注意してください。
以上の準備が整ったら、全体に満遍なく塗っていきます。
右利きの場合は左から右へ動かしながら塗っていくとよいでしょう。
一度に厚く塗るよりも、薄く数回に分けて塗っていく方がきれいに塗れます。塗っている途中もスプレー缶は頻繁に振りましょう。
一度に厚く塗ると垂れやすくなります。屋外ですと、虫が付いたりすることもありますので注意です。
塗料が垂れたり、ゴミなどが付着した場合は、乾燥させた後(最低でも30分以上)、耐水ペーパーで磨いて表面をきれいにして再度プラサフを塗ります。
4.本塗り
下地塗りが終わって十分乾燥させたら、いよいよ本塗です。
今回使用したのは、アサヒペンの「高耐久ラッカースプレー」のツヤ消し黒です。値段が手ごろでしたのでこちらを選びました。
(以下の画像クリックでアマゾンのページへ飛びます)
楽天市場で販売されている「高耐久ラッカースプレー ツヤ消し黒」
下地塗りと同じ要領で塗装していきます。一度に厚くではなく、薄く何度も繰り返し塗っていきます。
つや消し塗装の場合、一度に厚く塗ると、塗料によってはツヤができてしまう確率が高まります。
厚く塗ることでつや消し剤が下に沈んでしまうことが原因のようです。ですから、薄く塗って乾燥させながら、繰り返し塗っていき徐々に色を付けていく方法がよいです。
また、つや消しの色であっても塗った直後はツヤがありますが、乾燥するにつれてツヤがなくなっていきますのでご安心ください(笑)。
数度重ね塗りをして乾燥したら完成です。どのくらいの厚さで完成させるかはお好みによりますが、薄すぎず厚すぎずちょうど適度なところを感覚で決めてください。
一通り塗って乾燥させれば、ひとまずはこれで完成になります。
つや消しクリヤとは?
つや消し塗装の場合は、基本的に上塗りは不要とされています。
これにクリヤなどを塗ってツヤが出てしまえば、つや消しブラックを塗った意味がありません。
もっとも、つや消しクリアという塗料も販売されています。
(以下の画像クリックでアマゾンのページへ飛びます)
アサヒペン 高耐久ラッカースプレー 300ML つや消しクリヤ
楽天市場で販売されている「高耐久ラッカースプレー つや消しクリヤ」
こちらを吹き付けても、つや消しの状態を保ってくれるなら、塗装面の保護になって役立ちそうです。
こちらを上塗りとして塗装すればどうなるのか、興味がありましたので塗ってみることにしました。
上記画像の状態に塗装した後につや消しクリヤを塗りました。吹き付けた直後は光沢がありすぎて焦りました(汗)。
しかし、数度重ね塗りした後見てみると、いい具合に仕上がっていました。
右がつや消しクリヤを塗ったもの、左は塗っていないものです。見た目にはほとんど同じです。
しかし現物を見た印象では、つや消しクリヤを塗った方が深みのあるマットブラックになっているように感じました。
ですから、よりきれいなマットブラックにしたい場合は、つや消しクリヤを塗った方がよいでしょう(塗装面の保護にもなりますし)。
おまけ
つや消し、つやありの塗装について、個人的に気になっていたことがありましたので、ちょっと実験してみることにしました。
その1
つや消しクリヤは、もともとツヤのある塗装面をつや消しにするという働きもあるはずです。
そこで、ツヤあり塗装の上に塗ると本当につや消しになるのか気になりましたので、塗ってみることにしました。
今回塗った泥除けを装着していた自転車のチェーンカバー部分です。あまりきれいではありませんが、以前ツヤありブラックに塗装していたものです。
つや消しクリヤを塗った部分と元のツヤあり塗装面の比較です。
しっかりとツヤがなくなっていますね。きれいなマットブラックになっています。
ということで、きちんとツヤが消えるクリヤ塗料であるということがわかりました。
追記:
ツヤありブラック+ツヤありクリア塗装面につや消しクリアを塗った場合も上記と同じようなマットブラックになりました(下記画像の左部分がつや消しクリア塗装前、右部分が塗装後)。
その2
以上とは逆に、つや消しクリヤではなく、普通のクリヤをつや消し塗装面に塗るとツヤが出るのかということも気になっていました。
(以下の画像クリックでアマゾンのページへ飛びます)
アサヒペン 高耐久ラッカースプレー 300ML クリヤ
普通のクリヤ塗料は塗ればツヤが出るものです。今回塗装した自転車の泥除け2本のうち、つや消しクリヤを塗っていない方に塗ってみました(下記画像右側)。
見事にツヤツヤになりました。つやあり塗装と同じくらい(それ以上!?)に光沢が出ている気がします。これはこれできれいです。
おわりに
以上がマットブラック(つや消し黒)に塗装する方法と、つやあり・なし塗料を用いた実験などについてでした。
つやありの塗装の場合は、ツヤを出すために塗り方を工夫したり、ツヤがイマイチな場合は磨きをかけたりと大変なところもありますが、つや消し塗装の場合は、それらの点をあまり気にする必要がありません。
一度に厚く塗りすぎない点だけ注意すれば、あとは比較的気楽にできます。
シックでシブイ印象を与えることができるマットブラック、ツヤあり塗装には自信がない方でもチャレンジしてみる価値はあると思います。
<関連記事>
とても勉強になりました。
私はこれから始めて自家塗装をやってみようと思っていたので参考にさせて頂きます(^^)
ところで最後のおまけの方法が気になったのですが、元々のベースが光沢ありのブラックに光沢なしのクリアスプレーを塗装しても簡単にマッドブラックが仕上がると解釈してもよろしいでしょう?
コメントいただき、ありがとうございます^^
一般的につや消しクリヤは、ツヤのある塗装面をツヤのないものにするという解釈で間違っていないと思います。ただ、もともとマットブラックの塗料を塗ったものと、つやありブラックにつや消しクリヤを塗ったものを比べると、多少異なる場合があると思います。
そうなんですね。
分かりました、ありがとうございます(^^)
失礼いたします。
今回の塗装で使用したマットブラックどこの会社のものか知りたいのですが
教えていただけないでしょうか?
ご質問ありがとうございます^^
この記事で使用したのは「アサヒペン」のものです。記事の真ん中あたりで紹介しておりますのでご参照ください。
たいへん参考になりました、有難うございます。ご質問させて下さい。艶あり塗装、艶ありクリアーを吹いた樹脂のワークに艶消しクリアーを吹いたらどうなるのでしょうか。
宜しくお願い致します。
コメントありがとうございます。
参考にしていただき、うれしく思います^^
ご質問の件につきましては、後ほど改めて回答させていただきますので、しばらくお待ち願いますm(_ _)m
お待たせいたしました。
ご質問の件ですが、記事中で紹介しました同じ自転車のパーツにツヤありブラックにツヤありクリアを塗った面に、つや消しクリアを吹いた場合も、ツヤ消しの黒になりました(記事中の「おまけ その1」の項目に画像を追加しました)。すべてラッカースプレーで行っています。
ただ今回行ったものと、つや消しの黒を直接塗ったもの、ツヤあり黒につや消しクリアを塗ったものは、同じツヤのない黒でも微妙に色が異なる可能性があります。色を合わせる場合は塗装方法を統一されることをおすすめします。
マッドに塗装する際、大変参考になりました。ありがとうございます。
1つ気になることがあり、質問させてください。
ツヤなしクリアを塗装する際に、本塗りのマッドブラックの表面をならしましたか?それとも、表面をならさずにツヤなしクリアを塗装しましたか?
回答の方、よろしくお願いします。
ご質問ありがとうございます。記事をお役立ていただき、うれしく思います^^
クリアを吹く前に本塗りの表面はなにもしていません。本塗りの表面がムラになっているとか、ホコリがついたといったようなことがない限り、特になにもせずにそのままクリアを塗っても問題はないと思います。