冬の季節、自動車の運転で気になることといえば、雪や道路の凍結ではないでしょうか。
雪国の方なら、冬の間はスタッドレスタイヤに交換しているということが常識かもしれません。
しかし、一年を通して雪がほとんど降らない、あるいは積もらない地域に住んでいる方にとっては、年中ノーマルタイヤを履いているというのが常識であって、スタッドレスタイヤはお持ちでないという方も多いかもしれません。
地域によって、ドライバーのタイヤに対する意識の違いはあるかと思いますが、実は知らないでは済まされないルールがあります。
この記事ではその知らないでは済まされない大切なルールについて説明していきたいと思います。
ノーマルタイヤは違反になる!?
都道府県によって若干の違いはありますが、実はほとんどの都道府県(記事執筆時点では沖縄県以外の都道府県)では、積雪や凍結している道路を運転するときは、タイヤチエーンを取り付けたり、スタッドレスタイヤなどの雪路用タイヤを取り付けて滑らないようにしなければならないという規定があります。
例えば、北海道では
積雪し、又は凍結している道路において、自動車若しくは原動機付自転車を運転するときは、スノータイヤを全車輪に装着し、又はタイヤ・チェーンを取り付ける等滑り止めの措置を講ずること。
出典:北海道道路交通法施行細則12条2項
との規定があります。
積雪または凍結している道路を運転する場合、スノータイヤかチェーンを装着しないといけないということですね。
また、石川県では
積雪又は凍結している道路において、自動車又は原動機付自転車を運転するときは、雪道用タイヤ(滑り止め性能を有する雪道用タイヤで接地面の突出部が五十パーセント以上摩耗していないものに限る。)を全車輪に装着し、又はタイヤチェーン等を駆動輪(すべての車輪が駆動するものにあつては、前軸輪又は後軸輪)及び被けん引車の最後部の軸輪に取り付けて滑り止めの措置を講ずること。
出典:石川県道路交通法施行細則12条1号
との規定があります。
しかし、上記北海道の細則とすべて同じではありませんね、
どこが違うかというと、 雪道用タイヤの磨耗についての記載があること、チェーンは駆動輪に取り付けることについての記載があることですね。
このように都道府県によって若干違いがありますので、注意が必要です。
他の都府県については、以下のページに詳しく書かれています。
上記資料は作成時点における規定を元に作成されています。その後、改正されて条文が変更になっている可能性も否定できませんので、変更になっていないか一応確認されることをおすすめします。
違反した場合は?
「道路交通法施行細則」というのは、各都道府県の公安委員会が定めたルールです。
道路交通法71条6号は、各都道府県がそれぞれの地域に応じた細かな規定を定めることを認めており、その一つが「道路交通法施行細則」(県によっては少し違った名称になっていることもあります)というものです。
この規定は各都道府県内でのみ効力がありますが、違反した場合は道路交通法に違反したのと同等の扱いになります。
違反すると「五万円以下の罰金」(道路交通法120条9号)という罰則もあります。
ただ、このような罰金刑が記載されていたとしても、他の交通違反と同じように交通反則通告制度によって処理され、反則金の納付で済むことがほとんどだと思われます。
この違反は、「公安委員会遵守事項違反」ということになります。
違反点数はなく反則金、大型車が7千円、普通車が6千円、原付が5千円ということになります。
ノーマルタイヤで事故を起こした場合はかなり不利?
以上のように、雪道や凍結した道路をノーマルタイヤで走ることは、ほとんどの都道府県では交通違反になります。
安全のために守るべき
しかし、走っている状態ですと外観からは見分けがつきにくいので、取り締まりに合いにくいのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
そのとおりかもしれませんが、経験のある方ならお分かりだと思いますが、雪道や凍結した道路をノーマルタイヤで運転することはほぼ不可能ですよね。
ですから、取り締まりにあうかどうかということよりも、安全に運転するために守るべきルールですね。
スタッドレスタイヤに交換していなくても、タイヤチェーンがあれば現場で装着することで間に合わせることができますので、タイヤチェーンを車に積んでおくと安心です。
タイヤに比べると高価でない上に、イザというときには重宝します。
都会のドライバーは注意!?
雪などめったに降らない地域のドライバーの場合、スタッドレスタイヤなどの専用タイヤやチェーンなどを準備されていないことが多いのではないでしょうか。
そのような場合、年に一度、あるいは数年に一度くらいの割合で道路に雪が積もったり凍結したりした時は、特に注意が必要です。
まあ大丈夫だろうということでノーマルタイヤのまま車を走らせてスリップして事故を起こしてしまった場合、結構悲惨な目にあうことになるかもしれません。
悲惨な事故につながるということはもちろんですが、このような場合、原則として交通違反をして事故を起こしたという扱いになってしまいます。
そうすると、事故の過失割合なども大きく不利になってしまいますし、行政処分等も重くなる傾向にあります。
規定がある以上、「雪が降るなんて思わなかった」ということは言い訳にはなりませんので、細心の注意が必要です。
さいごに
以上、積雪・凍結道路を運転する際のルールと注意点でした。
ほとんどの都道府県では、積雪や凍結した道路を運転するときは、タイヤチェーンを装着するか、雪用のタイヤを取り付けて車が滑らないようにしなければいけないという規定があるわけですから、雪がほとんど降らない地域にお住まいでも、なんら準備をしていないということは許されません。
せめて冬の間は、タイヤチェーン等を車に積んでおくくらいの準備はしておいてもいいでしょう。
また、普段行かないところに遠出するときなどは特に注意が必要ですね。備えあれば憂いなしということで安全運転に努てくださいね。
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