本はできるだけたくさん読みたいけれど、いざ読もうとすると挫折してしまうというがありますよね。

重い荷物をたくさん運ぶと、たくさんのエネルギーを消費して体が疲れるように、難しい本を連続して読むと、たくさんのエネルギーを消費して脳が疲れます。

本を読む行為もエネルギーを消費するので、エネルギーを使うべきところとそうでないところを区別して、エネルギー効率を高めた読書を心がけるほうが得策です。

この記事では実りある読書を効率的に行うため、目的別に本の読み方のコツを紹介したいと思います。

 

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本を読む目的?

人が本を読もうとするとき、何かしらの目的があると思います。

例えば、ある分野について詳しくなりたいとか、日常会話のネタを仕入れたいとか、仕事の成績を上げたいとか、試験に合格したいとか、本を読むことによって何かを得たいと思っているのではないでしょうか。

本を読む際には、まず「どんな目的で読むのか」を意識したほうが得たい結果が得られやすいと思います。

なぜなら、目的をはっきりさせることで読むべき本や読み方がある程度決まってくるので、それ以外の無駄な作業を省くことができるからです。

漠然と目の前にある本をはじめから最後まで一通り読むという方法も否定はしませんが、目的をはっきりさせずに受け身で読むよりも、目的意識をもったほうが効率的に学ぶことができます。

本を読む目的としては、大まかな以下のように分類ができるのではないでしょうか。

  1. 受験・資格取得のため
  2. 知識獲得のため
  3. 違った考え・主張を知るため
  4. 読書感想文のため
  5. 流行を知るため
  6. 趣味・娯楽のため

以下からは、これらの目的別に効果的な本の読み方について説明していきます。

目的別:読み方のコツ

目的別に順番に説明します。

1.受験・資格取得のため

本を読む目的が受験や資格取得が場合は、得たい結果は試験に「合格」することです。

特殊な試験を除けば、こういった試験はあらかじめ出題範囲が決まっていて、一定水準を満たした場合に合格となります。

繰り返しが重要

試験への合格を目的とする場合、本の読み方としては、教科書(基本書)を理解しながら繰り返し読むというのが適しています。

教科書(基本書)というのは、出題範囲の内容を網羅し、基本的な内容についてわかりやすく書かれている本です。教科書は、多くの人が使っている定評のある本を選ぶのが無難です。

難しすぎてさっぱりわからないという場合は、より易しく書かれた入門書をまず読んでからというのでもいいでしょう。

どの本でも難しく感じることがあるかもしれませんが、繰り返し読むうちにだんだんとわかってきます。繰り返し読んで理解を深め、記憶を定着させることが重要です。

全体と部分の関係

1回目の読書で全部を完璧に理解しようとすると挫折する確率が高くなります。

はじめの数回程度は大まかな全体像を把握することを重視し、細かなところは気にせずに一通り読んで雰囲気をつかむくらいでかまいません。

それを繰り返すうちに細かな部分も理解できるようになります。逆に細かな部分の理解が全体の理解につながることもあります。

こういったように、全体の大まかな理解と部分的な細かな理解が有機的に結びつくことを何度も何度も繰り返して出題範囲全部を網羅していくとよいでしょう。

ここでいう「理解」とは、人に説明できる程度の理解度くらいの意味です。

過去問も重要

本の読み方というテーマとは少しずれるかもしれませんが、資格試験等の合格が目的の場合、教科書を読むことと同時に、過去に出題された問題(過去問)を解くことも非常に重要です。

どういった試験が出題されるのかのイメージをつかむことができますし、重要なところは繰り返し出題されていることもわかってきます。

過去問をつぶすことと教科書を読むということを車の両輪のようにして、実践的な知識を付けていくことは非常に効果的です。

試験によっては教科書を抽象的に読むよりも過去問を中心につぶしていけばいいという場合もあるかもしれません。この点は試験の種類や難易度等によって変わってくると思いますので、その試験の受験指導機関等がある場合は、そういったところの方法も加味しながら調整してみてください。

2.知識獲得のため

次は、仕事上ある分野のことについて勉強しなければならなくなったとか、この分野について知りたい、といったように知らない分野についての知識を獲得することを目的とする場合です。

ここでいう知識の獲得とは、単に情報を仕入れるといった意味だけでなく、ある分野の知識を自分の血肉として使いこなせるくらいに理解するいった意味まで含む広い意味でとらえるものとします。

目標を設定する

自分が知らない分野について読書する場合に気を付けるべきことは、どの程度まで理解すればいいかの目標を決めておくことです。

知的好奇心を満たすためなのか、日常会話のネタとして話すためなのか、会社でプレゼンするためなのか、レポートや論文を書くためなのか等によって理解すべきレベルは違ってきます。

知らないからといって、関連する事柄の知識を何でも入れていけばいいというわけではありません。

例えば、仕事上プログラマーと接する機会があるので、プログラマーという職業について知りたいという場合です。この場合、プログラミングを書くための専門的な本をやみくもに読むのは得策ではありません。

プログラマーはどんな仕事をしているのかについての大まかなことが理解できればいいので、その業界について書かれた本であったり、プログラマーという職業について概括的なことが書かれた本を読んで、大まかな理解ができればいいでしょう。

また、プレゼンやレポートなどのアウトプットを前提とした読書の場合は、他人に説明できる程度の理解が必要になってきます。そういった場合は、頭の中で内容を自分の言葉でまとめながら本を読むといいかもしれません。

このように知りたいことについての理解の程度を目標として設定しておき、それに応じた読み方をするのがコツです。

良い文献が存在するか?

本の読み方以前の、目的達成のためにどの程度の理解が必要なのかを意識した本選びも大切です。

知りたい分野について、基本事項をわかりやすく書かれた本が出版されていればいいですが、新しくできたばかりの分野などであれば、文献があまりないということもあるかもしれません。

そこで、知りたい分野についてきちん書かれた本がある場合とない場合に分けて説明します。

良い本がある場合

きちんとした本が出版されている場合は、まずはその本を読んでいきます。

たくさんの本が出版されている場合は、代表的なものを複数読むほうがいいです。

わからない言葉が出てきた場合は、辞典やネット検索などで調べながら読みます。意味がわからない単語をそのままにしてなんとなく読み進めてしまうと、しっかりとした理解を得ることは難しいです。

複数の本に目を通すと、土台となる基本事項は同じようなことが書いてあると気がつくと思います。

基本的な事柄を網羅的に書かれた本を通読した後に、さらに理解を深めたい場合は、より専門的な内容の本を読んでいくというのが順番としてはいいでしょう。

必ずしも入手した本を全て最初から最後まで読む必要はありません。必要な箇所だけ拾い読みしていくことでも十分な場合があります。目的を意識しながら読むべき個所を決めましょう。

良い本がない場合

知りたい分野について、良い文献がないという場合は、一部分でもその分野について触れている本や雑誌、論文などを探しましょう。大きな書店や図書館、ネット検索などを駆使して探します。

関連分野の文献の一部分で触れられていたり、雑誌の特集記事があったり、事典などに記載があることもあります。

そういった断片的な情報を集めながら自分で体系化していくしかありません。また、ネット上に情報がないかも探しましょう。

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3.違った説・主張を知るため

これまで説明してきた読書は、答えがある程度定まっている事柄についてのものでした。

ここで紹介するのは、

  • いくつかの考え方や意見が存在する
  • 学説上争いがあって決着がついていない

など答えが一つに定まっていない事柄について、様々な考え方をや主張を知るための読書についてです。

例えば、政治的な主張などは、いくつもの異なった主張や意見があります。

それらについて、違う立場の主張がどのようなものであるかを知りたい場合の読書は次のような点に気を付けるとよいでしょう。

説得力があるか判断する

意見が対立していたり、いくつかの考え方があるような場合は、それぞれの主張が説得力あるものかどうかを見極めながら読むことが大切です。

そのためには以下の3点に着目すべきと考えます。

  • 客観的データがあるか
  • ロジックが正しいか
  • 結論は妥当か

これらを意識せずに読んでしまうと、どの本を読んでも「何となく正しい気がする」といったことになりかねず、結局自分はどの主張を支持すべきなのか判断できなくなります。

客観的データがあるか

その主張(結論)を導くにあたって、根拠となる客観的なデータがあるかどうかをチェックします。

データはどのようにして得られたものなのか、どこの機関が発表しているものなのか、信頼できるのかなど、客観的に正確なデータであるのかチェックします。

ここでいうデータとは主張の根拠となるものですので、統計上の数字のデータだけでなく、法令や権威ある学者の学説、論文の記載等に置き換えることも可能です。

ロジックが正しいか

主張の根拠となるデータが掲げられている場合、データから結論を導く過程のロジック(論理)が正しいかを見極めることも重要です。

論理に飛躍があったり、強引な論理展開がないか、ミスリードしていないかなど、慎重に見極めながら読むことが大切です。

結論は妥当か

データと結論を導くロジックも正しいと判断できても、結論が社会的に妥当であるか、倫理的に問題はないかなど、妥当な結論であるかどうかも判断することも重要です。

社会的には受け入れられない結論であったり、倫理上問題が起こりうるような結論でないか考えた上で、その主張について自分なりの判断を下しましょう。

4.読書感想文のため

学生などが読書感想文を書くために本を読むという場合です。

多くの場合は、文学作品など物語を読んでどのように感じたか、考えたかなどを書くことになると思います。

登場人物になったつもりで

よい感想文を書くためには、作品の話の流れを理解していることが前提となります。感想文というアウトプットのためですから、作品内容の正確な把握は必要です。

また感想を書くわけですから、登場人物がどう考え、感じたかを疑似体験することが大切です。

登場人物になったつもりで追体験するように本を読み進めるのがよいと考えます。

メモをとる

一読しただけで記憶に定着するという方は別ですが、登場人物がたくさんできたり、物事の時系列が前後したりして混乱しないように、登場人物や出来事についてメモを取りながら読むことをおすすめします。

あらすじを大まかにつかみ、忘れないようにするために、その都度感じたことや、キーとなる出来事などについてノートに書いていきます。本のページ数も書いておけば後々便利です。

読みながら都度、ノートをとることは面倒なことですが、後になって膨大な量のページをめくって該当箇所を探しながら読み返すことに比べるとはるかに良いです。

ページ数が多い作品だと初めのほうの話を忘れてしまうことがありますので、すぐに思い出せるようにして、全体のあらすじと読んで感じたことを一目で把握できると、全体を俯瞰しながら感想文を考えていくことができます。

5.流行を知るため

世の中でどのようなものが流行っているのか、世の中の動きを知るために読書をするということもあると思います。

こういった場合は、ベストセラー本など話題になっている本や雑誌を選びます。

じっくり理解しながら読むというよりは、流行に敏感になるために色々な情報に接するという意味合いが強くなります。

ですから、多くの本をあまり時間をかけずにで一通り目を通していくという読み方が適しています。「こんなものがあるのか」程度にわかるくらいでいいと思います。

もちろん、流行の本だからといって内容が薄いとは限りません。時間をかけて学ばなければ本当の意味で理解できない本もあります。

多読するなかでそういったことに気づいて理解を深めたいと思えば、「2.知識獲得のため」で紹介した方法で理解を深める読み方をしていきます。

6.趣味・娯楽のため

趣味や娯楽のための読書は、読みたいから本を読むという性質のものです。

本を読むことそれ自体を楽しむことに意義がありますので、こう読むべきといったことはないと思います。

基本的に読みたいように読むものですから、欲求に忠実に自由に読みたいところだけ読んだり、パラパラとページをめくって楽しんだり、何度も何度も熟読したり、人それぞれでかまいません。

おわりに

目的別に本の読み方について説明してきました。

以上にあげた目的に当てはまらない場合はどうなのか?という疑問がわいた方もおられるかもしれません。上記以外の目的ももちろん考えられるかと思います。

しかし、細かく目的を分けていけば以上の分類分けにある程度対応させることができるかもしれません。

もちろん、本の読み方を押し付けるつもりはありませんし、人それぞれの読み方があると思います。ただ、本を読む目的を考えた場合に、どういった読み方が適しているかは大まかに分類できると考えていますので、参考にしていただければ幸いです。

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