JEMTEC(ジェムテク、一般社団法人 日本電子機器補修協会)という組織が行うパソコン有償譲渡会というものがあります。
郵便ポストにチラシ(大き目のハガキのようなもの)が届けられた経験がある方もいらっしゃると思います。
買い替えなどでノートパソコンの購入を考えているとき、いいものを安く手に入れたいと思いますよね。安いといえば中古パソコンですが、どんな人がどんな使い方をしたのかわからないため、品質が気になります。
そんな不安を取り除くべく配慮されているのが、この有償譲渡会で売られているノートパソコンです。
この有償譲渡会に足を運んで体験してきました。ユーザーの立場から、メリットとデメリット、購入に向く人、向かない人などについて考えてみました。
Contents
有償譲渡会とは
官公庁や大企業で使われていたノートパソコンを有償で譲渡するという催しです。
リース終了パソコンなど、3~5年程度使用された中古のノートパソコンを一般向けにセットアップしなおして販売されています。
詳細は公式サイトをご覧ください。
説明は丁寧
実際に足を運んだ会場では、説明のためのビデオ上映もありました。パソコンのOSや付属ソフト、ネット接続などについての基本的なことについての説明です。初心者にもわかりやすい内容だったと思います。
また、会場には数名のスタッフがおられ、気軽に質問をすることができます。購入前に疑問があればすぐに聞くことができます。
ちなみにスタッフは店員ではありませんので、買わないと気まずいという雰囲気はありません(笑)。
客層は?
会場や時間帯によって異なるかもしれませんが、親子連れ、中高年、シニアの方、あらゆる年代の方々が来ていた印象です。
複数の会場に足を運びましたが、どこも客層は似たような感じでした。
若者からお年寄りまで、どの年代の方が参加されても違和感はないと思います。
混み具合は?
会場や時間帯によってことなるのは当然だと思いますが、私が行った会場はどこも盛況でした。
中には開場後すぐのビデオ上映の席が満席になるという会場もあり、多くの人の関心を集めているのだなと思いました。
午前、午後の開場直後は比較的混みあうと思いますが、その日に購入して持って帰りたい機種が決まっているのであれば、在庫切れにならないよう早めに行かれるほうがいいでしょう。
ノートパソコンについて
当日配布のチラシやアナウンスによると、販売されるノートパソコンは企業や官庁等で3~5年ほど使用されたものとのことです。
一般的に3~5年ほどの使用と一概に言っても、使用頻度によって劣化具合が大きく異なります。しかし、有償譲渡会で売られているものは使用頻度が少ないものとのことです。
一般の中古ショップでは使用頻度まで確認するのは困難ですが、こちらは出自がはっきりしているのでこの点は安心できますね。
価格について
価格は26000円~56000円程度で、値段が高くなるほどスペックが高くなります。
これらのパソコンは一般向けのものと多少異なる点があるので一概に比較はできませんが、同じようなスペックのものの新品を家電量販店で購入すると、だいたい2~3倍以上の価格だと思われます。
また、中古商品としても、後述する2年間の保証付きであることや、操作方法等のサポートを利用できることを含めて考えると、決して高い値段ではないと思われます。
あくまで個人的な印象ですが、参加した会場では中~高価格のもののほうに人が多く集まっていたように思います。
ちなみに、在庫切れの場合は予約という形で会場で申し込みをしておけば、後日代引き(送料と代引き手数料は無料)にて自宅に届けてもらうこともできるそうです(サービス内容は時期や会場によって異なるかもしれませんので、現場で確認してください)。これはうれしいサービスですね。
スペックについて
パソコンの価格によってテーブルが分けられて、展示用マシンとスペック表が置かれていました。
あくまで一会場で売られていたもののデータになりますが、画面サイズは12.1型(インチ)と15.6型(インチ)の2種類でした。
メーカーは
- 東芝
- 富士通
- NEC
その他、スペック表にはHPやDELLもありました。
CPUは
- Cereron
- Core2
- Core i3
- Core i5
メモリは4GBがほとんどで、HDDは100GB台~300GB台、SSDは100GB台のものがありました。
これらのスペックは、時期や会場によって多少異なることは考えられます。
無線LANやDVDドライブが内蔵されていない機種は、無線LANアダプタや外付けDVDドライブなども一緒に置いてあることもあるので、選択の幅が広がります。
また、マウスは付いていないので別途用意する必要があります。会場でも売られていることもありますが、アマゾンや家電量販店などでも手に入れることができます。
ソフトについて
ソフトについては、Windows10とキングソフト社製のオフィスソフト(KINGSOFT Office 2016(WPS Office))ソフトがインストールされています。
Officeソフトはマイクロソフト社製のものでないことに注意が必要ですが、互換性があるのでワード、エクセル、パワーポイントと同じように使うことができます。
マイクロソフト社製にこだわる方は別ですが、こちらのソフトでも個人使用レベルでは問題はないと思います。
有償譲渡会のメリットとデメリット
では、有償譲渡会で購入するメリットとデメリットについて考えたいと思います。
メリット
メリットとして考えたのは以下です。
- 安心感がある
- 出自がはっきりしている
- 2年間の保証付き
- サポート付き
- 修理対応もあり
- トータルで考えるとお得感がある
順番に触れていきます。
安心感がある
有償譲渡会を主催しているのは、JEMTC(一般社団法人 日本電子機器補修協会)で、公式サイトによるとこの組織は2013年に活動を開始し、これまでに全国で5千回以上譲渡会を開催し、譲渡台数は38万台を超えています。
このような実績や、窓口がはっきりしていること、大手企業が後援していることなどを考えると、主催者がはっきりしないような業者とは違って安心感はあります。
また、実際に現場で実物のパソコンを見ることができますし、スタッフの話も聞けますので、どんなパソコンなのか、どんな対応をしてもらえるのかを事前に確認できる点も安心できます。
出自がはっきりしている
売られているパソコンは、大企業や官公庁で使われていたものという出所がはっきりしています。
闇のルートから流れてきたものではないので、怪しい製品ではありませんし、ウイルスが仕組まれているとか、ジャンク品の寄せ集めで組み立てられたものであるといった心配は基本的にありません。
公式サイトには譲渡するパソコンが出来上がるまでの工程が説明されていますが、品質管理もしっかりしていると思われます。
2年間の保証付き
有償譲渡会で売られているノートパソコンには2年間の無償修理保証がつきます。
一般的な中古パソコンの場合は、保証があっても数か月、長くても1年程度ですが、2年間というのは豪華です。品質に自信がないとできないことだと思います。
サポート付き
2年間の無償修理保証に加えて、サポート窓口があるのもうれしいサービスです。
サポート窓口は操作方法に関するもの、修理に関するもの、返品に関するものなどに窓口が分かれています。故障・修理だけでなく、操作方法についても対応してもらえます。
パソコンの操作は、慣れないうちはほんの少しのことで引っかかってしまうことがありますが、そんなときに相談できる窓口があるのは、初心者にとっては心強いサービスです。
修理対応もあり
販売されているパソコンの保証修理だけでなく、手持ちのパソコンの修理についても相談に乗ってくれる有償修理補修会も開催されています。
故障で困っている場合には、同時に相談することもできるので便利です。
トータルで考えるとお得感がある
販売価格は単にパソコン本体の価格だけでなく、2年間の保証付きであることや、サポートが利用可能であることなど、サービス全体としての価格と考えたほうがいいと思います。
一般的に中古パソコンは保証が無いか、あっても短期間であることが多いですし、パソコンの有料サポートは決して安くはありません。
そう考えるとサービス全体で考えるとお得感はあるのではないでしょうか。
デメリット
デメリットとして考えたのは以下です。
- 開催が不定期
- パソコンの機種・スペックが限られる
- 保証やサポートが不要の人には割高!?
- 個体差に着目して選べない
- 現金払い
順番に触れていきます。
開催が不定期
ウイークポイントの一つは、開催場所と日時が限られるということですね。お店のように好きな時に出向いて購入できるというわけではないということです。
地域によってはなかなか開催がないこともあるでしょうし、大都市圏でも買いたいときに開催があるとは限りません。
パソコンの機種・スペックが限られる
有償譲渡会で売られているノートパソコンは上記の通り、機種やスペックに限りがあります。
今のところアップルのMacBookなどの扱いはなく、Windowsパソコンに限られますし、Windowsパソコンでも、よりハイスペックなものや、付属していないソフトなど、扱っていない仕様のものは買えません。
保証やサポートが不要の人には割高!?
メリットの項目で2年間の無償修理保証やサポートが充実しているということをあげました。
しかし、修理は自分でできるという方や、パソコンに詳しいのでサポートは不要と考える方には、価格が割高に思えるかもしれません。
保証やサポートを考慮に入れなければ、安くパソコンを買う方法は色々とあります。中古ショップはもちろんのこと、ヤフオクやメルカリなどの個人間売買、ジャンク品を扱うお店など、入手できるところはたくさんあります。
ちなみに、パソコンの型番など具体的に機種を特定できる情報が分かっていれば、過去に取引された相場を調べる方法があります。オークファンというサイトを利用すれば、オークションサイトなどで取引されたデータを見ることができます(無料会員登録で6ヶ月間の落札相場を検索できます)。
個体差に着目して選べない
中古パソコンは、それぞれ個体差があってそれに応じて価格が決まるのが通常です。
しかし譲渡会のパソコンは機種ごとに一律に価格が決まっているので、個体差に着目した商品選びはできません(デメリットというよりは、それだけ品質が安定していると考えることもできます)。
現金払いのみ
現時点で支払い方法は会場での現金払いのみとなっているようです。クレジットカードや分割払いなどには対応していません。
他の決済方法を希望する方は不満に感じられるかもしれません。
購入に向く人向かない人
以上、メリットとデメリットを見てきましたが、それを踏まえて購入に向く人と向かない人について考えます。
購入に向く人は、以下の属性の人と考えます。
- パソコン初心者
- 安く買いたいが無保証の中古品は不安な人
- 設定や操作方法のサポートを望む人
- 高性能にこだわらない人
- ネット、メール、文書作成が中心の人
例えば、
「ネット、メール、ワープロが普通に使えれば高性能にはこだわらない。家電量販店で見るような10万円以上もするパソコンは高いと感じるが、かといって中古パソコンを詳しく吟味できるほど詳しくはない。中古なら保証やサポートがあれば安心。3~4万円前後で適当なものがあれば…。」
といった考えの方は購入に向いていると思います。
購入に向かない人は、以下の属性の人と考えます。
- パソコンに詳しい人(修理や整備ができる人)
- 安さにこだわる人
- 設定や操作方法のサポートが不要な人
- 高性能にこだわる人(他の仕様を希望する人)
- パソコンでヘビーな作業をする人
例えば、
「このスペックにしてはちょっと高いかな。自分の知っている所では同程度のものがもっと安く手に入るはず。自分で好きな容量のSSDに交換してメモリも増設するのがいいかも。中古パソコンでも、おかしなものはだいたい判断できるから保証はいらない。トラブルがあっても自分でなんとか対処できるだろう。」
といったようなことが頭の中を駆け巡った方は向かないと思います(笑)。
個人的なものですが、以上のようなイメージをもっています。あくまで一個人の見解ですので、参考程度にお考え下さい。
おわりに
ノートパソコンの有償譲渡会のメリットやデメリット、購入に向く人、向かない人について個人的な見解を述べさせていただきました。
パソコンの有効活用という点ではかなり画期的な取り組みであると感じます。購入者の立場からしても、パソコンに詳しくない方でも安心して長く使えるという点では、メリットはかなり大きいと思います。
また、会場で希望の機種が在庫切れの場合は、予約という形で受け付けてもらえることや、購入した場合は駐車料金を精算してもらえることなど、利用者にはうれしいサービスもあります。
参考にしていただければ幸いです。