バイク(オートバイ)や自動車が自分の敷地の周辺に放置されていたり、あるいはマンションの駐車場などの私有地内に放置された状態になっていると、邪魔になったり景観を損ねたりしてとても困りますよね。

このような放置バイクや放置自動車がある場合、どのような対処方法があるでしょうか。

バイクや自動車は基本的に所有者や使用者を登録してナンバープレートを取得しなければ公道を走ることはできません。

そのため、放置されているバイクや自動車であっても所有者や使用者が登録されているはずです。

そういった事情があるため、勝手に処分してしまうことはためらわれます。

ということで、どういった対処の仕方があるのかについて説明します。

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放置バイク・放置自動車とは

まず、どのくらいの期間放置されていれば放置バイクや放置自動車といえるのかは、実のところ明確に決まっているわけではありません(

ここでいう「放置~」は駐車違反のことではありません)。

都道府県や市町村の条例に書かれている場合がありますが、その場合でも「相当期間や「相当の期間」といった書き方がされていて明確な期間が書かれていません。ケースバイケースになると思いますが、数日~数週間程度以上の期間は置かれていることが必要ではないかと考えられます。

もっとも、後ほど説明しますが、実際に放置車両を処分するにはトラブル防止を考えて、さらにある程度の期間(少なくとも数週間以上)は待ったほうがいいかもしれません。

放置バイク・放置自動車の処分方法3

放置場所によって方法が違う

放置されている場合の対処方法としては、バイク、自動車とも基本的には同じです。

放置されている場所が、

  • 公道上にある場合
  • 私有地内にある場合

 

のいずれかによって、やることが少し異なりますので順番に説明していきます。

公道上にある場合

まず、自分の敷地の近くであっても公道上にバイクまたは自動車が放置されている場合は、原則としてその道路を管理している役所が対処すべき事柄になります。

しかしそうであっても、自分の敷地近くにの道路上にあれば、通行の邪魔になったり景観を損ねたり、あるいは死角ができて危険な状態になったりしますので、早く撤去してほしいものです。

誰も何もしなければ、管理者が放置されていることを認知することが遅れ、撤去されるまでに時間がかかることになります。

道路の管理者に連絡

そこで、道路の管理者である役所にバイク・自動車が放置されていることを連絡するのがよいでしょう。

国道であれば国土交通省、県道であれば県庁、市道であれば市役所というように、管理している役所がそれぞれ違ってきます。

担当の役所の窓口がわからなければ、総合窓口で聞けばつないでもらえます。

具体的な状況を説明すれば、調査に来てくれ、警告票などを取り付け、一定期間経過後、撤去されることになります。

警察に連絡という手も

放置されているバイクや車が盗難車や、何らかの事件に関わりがあると予想される場合は、役所に連絡する前に警察に連絡して調べてもらうほうがいいかもしれません。

事件性があればその車両に関しては警察が対処してくれます。

他方、盗難やその他事件とは関わりがない場合は、道路の管理者である役所が対応していくことになります。

警察に連絡するか、道路管理者である役所へ連絡するかのどちらがいいか迷う場合は、どちらでもいいと思います。

ただ、駐車禁止場所など車を止めてはいけないところに放置されている場合は、警察のほうがいいかもしれません。

 

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私有地内にある場合

私有地内にある場合は、公道上にある場合と違ってお役所に連絡しても対応してもらうことはできません。

あくまでその土地の管理者である、土地の所有者(または賃借人などの土地を利用する権利がある人)が対処するしかありません。

警察に連絡

手順としては、まずはじめに放置車両が盗難など事件と関係がないか警察に調べてもらいましょう。

放置されている車両があるということで、ナンバーや車体番号などを調べて盗難届けなどが出されていないか調べてもらいます。

何らかの事件と関わりがあることがわかれば、警察がその車両については対処してくれるはずです。

しかし、もしなんら事件とは関わりがなければ、警察はなんらその車両に対して対応することはできません。

放置バイク・放置自動車の処分方法2

事件性がない場合

盗難車でないなど事件性がない場合は、警察は民事不介入ということで、基本的に警察では対応してもらうことはできません。

つまり土地の所有者(土地の使用権者)と車の所有者という私人同士の関係は当事者で解決してくださいということです。

所有者を特定する

こういった場合、後で説明しますが廃棄処分まで自分で全部やる方法と、業者で任せる方法があります。もし自分で全部やるという場合は、放置車両の持ち主を特定することから始めます。

普通自動車の場合、ナンバープレートや車体番号がわかれば、手数料数百円程度かかりますが運輸局にて、持ち主を調べることができます。

手続きとしては、私有地放置車両関係位置図や写真、申請書、請求者の身分証明書などを提出すれば登録事項等証明書を発行してもらうことができ、その書類に所有者などが記載されています。

軽自動車の場合は、軽自動車協会にて土地の登記簿謄本と写真、身分証明書、その他所定の用紙に記入して申請すれば、所有者を調べてもらうことができます。

250cc超~のバイク(車検があるバイク)の場合は、所有者がわからなければ登録事項等証明書を発行してもらうことはできませんので、事実上調べることはできません。

125cc超~250cc以下のバイクは第三者が所有者を調べることができるような方法はありません。

125ccc以下のバイクは、ナンバーに記載されている市区町村の税務課などが担当になりますが、こちらも所有者を教えてもらうことはできないようです。ただ、所有者を教えてもらうことはできなくても、担当の税務課などから所有者に対して連絡をしてもらえることがありますので、問い合わせてみる価値はあります。

以上のような事柄は、公式サイトなどに詳細が書かれていることは少ないですので、それぞれの地域の担当窓口に問い合わせてみてください。

所有者がわかった場合

所有者が特定できれば、本人に放置車両を撤去してもらうように連絡して対応してもらいます。

そこで対応してもらえれば一件落着ですが、返事がなかったりなんら対応してもらえない場合はどうすべきでしょうか。

次は証拠を残すために内容証明郵便にて放置期間分の駐車場代(駐車料金)放置車両の撤去及び土地の明け渡しを請求をします。

それでなんら応答がない場合や、郵便が受け取られずに戻ってきて再送しても応答がない場合などは訴訟を提起します。

勝訴判決後、競売にかけるか廃棄処分をするなどすることになります。

この一連の手続きを行うに当たっては、やはり法律の専門家か放置車両専門の業者への相談をされることをおすすめします。

所有者がわからない場合

所有者が特定できない場合、おそらくその車両はナンバープレートもなく一般的に廃棄物といえるような状態であると思われます。

このような場合廃棄物処理法違反の刑事事件として刑事告訴できます。

しかし、放置車両を撤去してもらえるわけではありません。

放置車両を所有者のいない物(動産)として土地の所有者(または土地を利用する権限のある人)の物として所有権を取得できると解釈します(民法239条1項)。

その上で処分していくわけですが、方法は二つです。

  • 自分で廃棄する
  • 放置車両撤去(回収)業者に依頼する

 

自分で廃棄する場合は、それにかかる費用は自分で負担する必要があります。

例えば、解体業者などへの輸送費用や引取り料などです。

もっとも、現在は車やバイクを廃車として買い取ってくれる場合もありますので、詳細は自動車やバイクを引き取ってくれる解体業者などに問い合わせてみてください。

それ以外の方法としては、放置バイクや放置自動車を回収する専門の業者がありますので、そちらへ依頼する方法があります。

専門業者であれば放置車両への警告から引取りまでのノウハウがありますので、ひとまず安心です。

料金は無料~数万円と業者や地域によって異なります。

自分で廃棄する場合

参考までに自分で廃棄する場合の簡単な流れについて説明します。

先ほど土地の所有者(または土地を利用する権限のある人)が放置車両の所有権を取得できると書きました。

しかしこれは概念的なものなので、トラブルを防ぐために一定の手続きをしたほうが安心という意味で、以下の手続きを提案するといった程度のものです。

警告する

まず放置されている車両に「撤去してほしい」旨の張り紙なり警告票を取り付けましょう。

この手続きをしなければならないという決まりがあるわけではありませんが、張り紙をするなどして意思を表示していることを外部にアピールできます。

そしてその状態で一定期間猶予を与えておいたほうがよいでしょう。

どのくらいの猶予期間があればいいかというのは一概にはいえませんが、バイクや車はもともとそれなりに高価なものですので、最低でも1ヶ月程度はあったほうが安心でしょう。

その際、放置されている状態の証拠を残しておくために、写真や映像などの記録を残しておきましょう。

放置バイク・放置自動車の処分方法

廃棄処分

警告票を取り付けるなどした後、猶予期間を経過しても持ち主が撤去しない場合、その車両を処分していくことになります。

最寄の自動車やバイクを引き取ってくれる解体業者などに連絡して引き取りに来てもらうか、自分で運搬していくかして引き取ってもらいます。

返してと言われたら?

私有地内にあった放置車両を処分した後に元所有者が現れて返してほしいと言われた場合には少しややこしいことになるかもしれません。

しかし、本当に所有者であったのかきちんとした証拠を示して証明してもらってから対応したほうがいいでしょう。

また権限がないのに他人の土地に車両を放置することは不法占有となって、その間の損害賠償請求ができると反論することもできます。

こういったことにそなえるため、放置車両のだいたいの時価を調べた上で、その額と不法占有された期間分の損害賠償請求額(要するに駐車場代ですね)がほぼ同額になる程度の期間まで待つということもひとつの方法です。

自分のものにするのはアリ?

以上が廃棄処分にする場合についてでしたが、廃棄すなわちゴミになるなら自分のものにしたいという気持ちがあるかもしれません。

法律的にも無主物として所有権を取得できると解釈できる余地もあります。

放置車両といえども、整備すれば乗れるかもしれませんし、部品を取り外して売れば高く売れることもありますので、目利きの聞く人であればほしくなるかもしれません。

しかし、その車両の所有者が現れた場合に、盗難(窃盗)の疑いをかけられたり、あるいは勝手に自分のものにしたということで占有離脱物横領罪の疑いをかけられたりするリスクはあります。

ですからそういったことはしないほうが無難だと考えられます。

なお、占有離脱物横領罪については、以下の記事に詳しく書いていますので、よろしければ参考にしてください。

占有離脱物横領罪(遺失物横領罪)とは?窃盗罪との違いは?

さいごに

以上、放置バイク・放置自動車への対処方法について説明してきました。

車両が公道上に放置されている場合は、一応行政が処理するルールが定められていますが、私有地内に放置されている場合の処理については、実のところ法令できちんと規定されているわけではありません。

また、車両の種類や持ち主が特定できるか否か、連絡がつくか否か、車両の状態などによって対応が微妙に違ってもきます。

自信がなければ専門業者に任せるというのも一つの手です。

なるべくトラブルにならないように、しっかりと記録(日時、期間、ナンバープレート、車検ステッカー、車両の状態、放置場所など)を残しながら慎重に手続きを進めていってくださいね。

<関連記事>

放置自転車の処分は自分でできる?法律的な問題について

 

 

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