2015年6月1日より3年以内に2回以上、「14の危険行為」を行って検挙されるか、事故を起こした場合、講習を受けることが命じられるという、自転車運転者講習制度が導入されました。

それに伴い、各地で警察による自転車の違反行為の取り締まりが行われています。

この記事では、自転車の危険行為をした場合に交付される2種類の書類について説明していきます。

ちなみに、14の危険行為については以下の記事を参考にしてください。
自転車講習が義務化!対象の違反行為と処分の流れを解説

自転車に乗っていて違反をしてしまった場合に、警察からもらう書類によってその後の処理が大きく違ってきます。

その書類とは2種類あって、一つは「自転車指導警告カード」(警告カード、警告票、イエローカード!?)といわれるもの、そのもう一つは「交通切符」(赤切符)です。

どちらであるかによって、大きく変わってきますので、それぞれについて少し詳しく説明していきますね。

 

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自転車指導警告カードとは?

まずは警告カードといわれるものです。一般的には警告票とかイエローカードとか言われているのかもしれませんが、正式には「自転車指導警告カード」というものです。

自転車で違反行為をしていた場合に警察官などに発見され、警告を受けた際にもらうものです。対象年齢は14歳以上になります。

手続きとしては、現場で警告を受け、どんな違反行為をしたのかチェックが入った警告カードを受け取り、その他特に何もなければその場で終了という形になります。

ちなみに、この警告カードを受け取っただけでは、自転車運転者講習を受けなければならない3年以内に2回以上の違反という要件にはカウントされません

後ほど赤切符の所でも詳しく書きますが、前科もつきません。警察署に記録として残るだけです。

記録として残ることに何か不利益なことがあるかというと、ほぼ何もないといっていいと思われます。

今後違反をくり返したとか、何か罪を犯したといったような場合に参考にされるといった程度のことだと考えられます。

自転車で赤切符は前科?警告カードとの違い

赤切符とは?

次に赤切符(あかきっぷ)交通切符」といわれるものについてです。上のほうに「告知票・免許証保管証」と書かれた書類です。

地域によっては、自転車指導警告カードを交付する際に「自転車レッドカード」と書かれた赤いカードを交付されることがあるようですが、これはここでいう赤切符ではなく、自転車指導警告カードと同じ扱いになります。

検挙されて赤切符を交付された場合は、刑事手続きとなり、起訴されれば通常略式裁判という裁判にかけられ、被告人という立場になります。

赤切符になるのはどんな時?

一般的に自転車の違反行為で赤切符が交付されるのは、悪質と判断された場合です。

あくまで個人の見解ですが、例えば以下のような行為は悪質と判断される可能性が高いのではないかと思います。

  • 停止を求められているのに逃走しようとした
  • 違反行為をやめるように求められているのに無視した
  • 事情を聞かれているのに応じようとしなかった
  • 警告を聞き入れず反抗的な態度をとった
  • 誰が見てもきわめて危険な違反行為をしていた

違反をしてしまった場合は、素直に認め正直に話して反省するのがベストです。

 

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前科・前歴はつくの?

赤切符を交付された後、略式起訴されて罰金刑などの刑罰が科されれば前科がつきます(前科は法律用語ではありません。前科を刑の言渡しを受けた事実という意味でとらえた場合です)

赤切符が交付された場合は、交通警察官室や検察庁、裁判所の交通分室といったところに出頭を命じられますが、通常の刑事手続きよりも簡略化されたものになります。

簡略化されているとはいえ、警察官や検察官から被疑者(ひぎしゃ)という立場で取調べを受けることになります。

ここで検察官が刑罰を科すかどうかを判断します。略式起訴されれば、被告人(ひこくにん)となり、ほとんどの場合罰金などの刑罰が科されることになります。略式起訴されなければ、起訴猶予ということで終わります。

罰金などが科されれば前科はつきますが、起訴猶予になれば手続きはそこで終了し、前科はつきません

ただ、起訴猶予の場合は前歴(こちらも法律用語ではありません。一般的には逮捕されたとか、捜査対象になった事実という意味でとらえられます。)というものがつきます。

前科がつくとどうなるの?

前科がついた場合、就職・転職活動、海外渡航などへの影響や、勤め先からの懲戒処分などが考えられます。

例えば履歴書には「賞罰」という欄がありますが、前科はそこへ記載する必要があります。

もっともプライバシーを理由に記載する必要はないとの見解がありますが、「なし」と記載すると事実と異なることを書いたことになります。

起訴猶予になった場合は記載する必要はないとされています。

ちなみに、他人が捜査機関や行政に前科・前歴を問い合わせても、それらの有無について回答が得られるということはありません。

海外渡航への影響については、渡航先の国によって違ってきますので、ビザの発給制度がどのようになっているのか確認したほうがよいです。

自動車・バイクのほうが罪が軽い!?

自転車で赤切符は前科?警告カードとの違い2

運転免許をお持ちの方はお分かりだと思いますが、自動車やバイクには交通反則通告制度というものがあり、軽微な違反はいわゆる白切符青切符(交通反則告知書)というもので処理されます。

通常は反則金といわれるものを納めればそれで終わります。罰金と言う方も多いですが、正確には反則金は罰金ではなく、刑事手続きを経た処分ではないので前科はつきません

これらに関しては以下の記事で詳しく書いていますので、よろしければ、参考にしてください。

白切符、青切符、赤切符の違いをわかりやすく説明します

これに対し、自転車の違反には交通反則通告制度(青切符制度)のような制度はありません。そのようなことから、自動車・バイクと比べて自転車のほうが厳しい処分になることが起こりえます。

例えば、自動車やバイクで信号無視をした場合は、通常青切符で減点2点と反則金という処理になりますが、自転車で信号無視をした場合、赤切符になることがあるということです。

自動車やバイクでは、比較的重い違反行為をしなければ赤切符にはならないのに、自転車では違反の軽重に関係なく赤切符になる可能性があります。

現在のところ、法律がそのようになっているので仕方がありません。

さいごに

自転車の違反行為といっても、重い処分を受けることがあるということがお分かりいただけたかと思います。

非常に稀なケースですが、自転車の危険行為が自動車の運転免許の停止処分につながることもあるようです。

このケースでは自転車を飲酒運転して死亡事故を起こしたというもので、東京都の公安委員会と警視庁が自動車の運転においても事故を起こす可能性があると判断して、その運転者の自動車の運転免許を180日間停止処分を行ったようです。

自転車は運転免許がいらないからといって、自動車などの運転免許の処分に全くつながらないというわけではないということですね。

自転車は気軽に乗れる反面、危険も伴う乗り物ですから、決して甘くみることなく、安全第一で乗りたいものですね。

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