ネットで何でも情報を集めることができる時代。
文字情報だけでなく、動画や音声などのデータも自由に集めることができるようになりました。
そんな時代だからこそ気をつけたいのが著作権です。
簡単にコピーできるからこそ、他人の著作権を侵害してしまうリスクも高まります。
例えば、ブログを書いている方であれば記事をアップするときや、学生さんであればレポートや卒業論文を書くときなど、他人の文章をコピペするというのは著作権上問題が生じる場合があります。
著作権という権利は、実際その内容は色々なものがあります。
ということで、著作権というものについてみていきたいと思います。
Contents
著作権って何?
著作権(ちょさくけん)という言葉はよく聞きますが、それが一体どういった権利なのかは漠然としていてわかりにくいのではないでしょうか。
知的財産権の一つ
著作権は知的財産権(ちてきざいさんけん)の一つです。
知的財産権とは、平たく言うと情報に対して認められる権利のことです。
知的財産権は特許権のイメージが強いですが、他に実用新案権、意匠権、商標権があります。
この著作権は、基本的には著作「物」を創作した人に与えられます。
著作物とは?
ちょっと難しいですが、著作物(ちょさくぶつ)は著作権法第2条1項1号によると、以下の要件を満たすものをいいます。
- 思想又は感情を内容としたもの
- 創作的に表現したもの
- 文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの
これらを全て満すものを著作物といいます。
ということは、これを満たしていないものは著作物になりません。
例えば以下のようなものは著作物になります。
- 言語の著作物(小説、脚本、論文、レポート、作文、手紙など)
- 音楽の著作物(楽曲、歌詞)
- 舞踊又は無言劇の著作物(バレエ、ダンス、日本舞踊など)
- 美術の著作物 (絵画、版画、彫刻、書道の書など)
- 建築の著作物(デザイン性のあるものなど芸術的な建築物)
- 地図又は図面(学術的な性質を有する図面、図表、模型など)
- 映画の著作物(劇場映画、アニメ、録画されている影像など)
- 写真の著作物(グラビアなど)
- プログラムの著作物 (コンピュータープログラムなど)
- 二次的著作物(海外の書籍などの翻訳、原作からの映画化作品、編曲など)
- 編集著作物(雑誌、新聞、事典、詩集など)
- データベースの著作物(雑誌、新聞、事典などのデータベース)
これらはあくまで例なので、例になくても上の3つの要件に当てはまれば、著作物になります。
著作権がない著作物
著作権の要件を満たしていても、著作権が与えられない著作物というのがあります。
それは以下のものです(著作権法13条)。
- 憲法その他の法令
- 国や地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が発する告示、訓令、通達など
- 裁判所の判決、決定、命令や行政庁の裁決、決定など
これらの翻訳物や編集物で、国や地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が作成するもの
これらは、皆に周知することを目的としていますので、誰でも自由に利用できるように著作権が否定されています。
権利の内容
著作権と一口に言っても、その内容は色々なものがあります。
具体的な内容は以下のとおりです。
<著作者人格権>
- 公表権(無断で公表されない権利)
- 氏名表示権(著作者名を載せるか、どんな名義にするか決める権利)
- 同一性保持権(無断で改変されない権利)
<財産権>
- 複製権(複製する権利)
- 上演権・演奏権(上演・演奏する権利)
- 上映権(上映する権利)
- 公衆送信権(公衆送信する権利)
- 公の伝達権(公衆送信される著作物を公に伝達する権利
- 口述権(口頭で述べる権利)
- 展示権
- 頒布権
- 譲渡権
- 貸与権
- 翻訳権、翻案権等
- 二次的著作物の利用に関する原著作者の権利
このようにしてみると、たくさんの種類の権利がありますね。常識的に納得できるものが多いのではないでしょうか。
なお、著作権者はこれらの権利を専有しているため、他人が無断でこれらのことを行うと著作権侵害になります。
著作権を侵害するとどうなるの?
著作権を侵害すると、どうなるかということですが、法律的には
- 民事事件
- 刑事事件
になる可能性があります。
その前に、著作権者から「抗議」という形でクレームが来ることが多いようです。
これは相手が任意ですることで、必ずしもしなければいけないというものではありません。
民事事件
民事事件というのは、著作権者と著作権を侵害した人との間の事件ということで、私人の事件です。
その事件での請求は3つの種類があります。
- 差止請求
- 損害賠償請求
- 名誉回復の措置の請求
差止請求(差し止め請求)というのは、著作権を侵害された(されるおそれがある)人が、その侵害をやめること(予防)を請求することをいいます。
損害賠償請求は、著作権を侵害されたことによって生じた損害の賠償を請求することをいいます。
名誉回復等の措置の請求というのは、著作権者が著作権侵害からの「名誉・声望を回復するための措置」を請求することをいいます。
これらの請求はいきなり裁判ということになる前に、当事者同士の話し合いで解決することもありますし、裁判外紛争解決機関(ADR機関)による手続きや紛争あっせん制度によるものなどで解決させるという方法があります。
刑事事件
刑事事件というのは、捜査機関など国の機関が動いて著作権侵害者を処罰する手続きに入った事件のことをいいます。
ただ、著作権侵害をしている人を処罰するためには、著作権者など(告訴権者)が捜査機関に申し出て、処罰してほしいという意思を示す(告訴する)必要があります。この点で著作権法違反の罪を親告罪(しんこくざい)といいます。
ちなみに、先ほど説明した民事事件の請求とは全く別の手続きですので、別々に行う必要があります。また、どちらか一方でも、あるいはどちらも行わなくても問題はありません。
さいごに
以上、著作権の内容と、著作権侵害した場合の責任などについて説明してきました。
著作権という言葉はよく耳にしますが、漠然としたイメージしかないことも多いかもしれません。
著作物を利用する場合も、自分が著作権者の場合も、著作権とはどんなものかを意識しておくと、より便利に情報を活かすことができるかもしれませんので、参考にしてくださいね。
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